疼痛について
疼痛が続くリスクには、以下が含まれます。
神経障害
神経の損傷や感染が疼痛を引き起こすことがあります。神経障害が継続すると、疼痛も継続することがあります。炎症
怪我や疾患によって引き起こされる炎症が続くと、組織に損傷が生じ、疼痛が慢性化する可能性があります。精神的ストレス
ストレスや不安、うつ病などの精神的状態が持続すると、身体的な疼痛も継続しやすくなることがあります。長期の薬物使用
痛みを軽減するために一部の医薬品として処方される薬剤の長期使用は、身体にトラウマを与えることがあり、疼痛が慢性化する可能性があります。慢性的な疾患
糖尿病、関節リウマチ、脊椎疾患、癌などの慢性的な疾患は、疼痛を引き起こし、継続する可能性があります。
これらの原因によって疼痛が慢性化すると、日常の活動に支障が出たり、信頼できる治療法を見つけることが困難になるため、
医師に相談し早期に治療に取り組むことが重要です。
疼痛治療
疼痛治療は、痛みの原因に応じて多様なアプローチがあります。以下に、疼痛治療方法を紹介します。
幹細胞療法
慢性疼痛の幹細胞治療は、疼痛の原因となっている組織の再生と修復を促進するために、幹細胞を使用する治療法です。 幹細胞は、自己再生能力があり、損傷した組織や細胞を修復する能力があります。以下に、幹細胞治療が有望とされている疼痛症状についていくつか紹介します。
関節痛
関節痛の治療には、脂肪由来幹細胞(ADSC)や骨髄由来幹細胞(BMSC)などの幹細胞が使用されます。これらの幹細胞は、関節内に移植することで、関節痛の軽減に繋がるとされています。
神経痛
神経痛の治療には、末梢神経由来幹細胞(PNSC)や骨髄由来幹細胞(BMSC)などの幹細胞が使用されます。これらの幹細胞は、神経細胞を保護し、神経再生を促進し、神経痛の緩和に繋がるとされています。
筋肉痛
筋肉痛の治療には、骨髄由来幹細胞(BMSC)が使用されます。これらの幹細胞は、筋肉細胞を保護し、筋肉再生を促進することができます。
慢性疼痛
慢性疼痛の治療には、脂肪由来幹細胞(ADSC)や骨髄由来幹細胞(BMSC)などの幹細胞が使用されます。これらの幹細胞は、痛みを引き起こす炎症を抑え、神経再生を促進することができます。
幹細胞治療は、疼痛の原因を根本から解決するため、継続的な治療が必要な病気や痛みに対して、有効な治療法とされています。
ただし、幹細胞治療の効果には個人差があることを考慮する必要があります。まずは専門医の診察と専門員のカウンセリングを受けることをおすすめします。
エクソソーム療法
慢性疼痛のエクソソームを使った治療は、エクソソームと呼ばれる微小な細胞外小胞を用いた治療法です。 エクソソームには、幹細胞と同様に細胞の再生や修復に必要な成分が含まれており、細胞にダメージを受けた組織に直接注入することで、 疼痛を軽減する効果が期待されています。エクソソーム治療の方法は、次の通りです。
患者様自身の幹細胞から生成されたエクソソームを使用する方法
患者様自身の脂肪組織や骨髄から得られた幹細胞からエクソソームを生成し、疼痛と関連のある組織や器官に注入します。提供された幹細胞から生成されたエクソソームを使用する方法
分野の専門医によって提供された他家幹細胞から生成されたエクソソームを使用して治療を行います。エクソソーム治療は、幹細胞治療と比較して、採取・培養の必要がなく、治療期間も短いため、患者にとって負担が少ない治療法です。 ただしエクソソーム治療には、まだ幹細胞治療程度に効果を認めることができる臨床研究データが不十分であるため、 医師の診察とカウンセリングを受け、リスクとメリットをよく理解した上で治療を行うことが重要です。
薬物療法
痛みの強さや原因に応じて、痛みを和らげるための薬が処方されます。一般的な薬としては、鎮痛剤や抗炎症薬、筋弛緩剤、抗うつ剤、抗てんかん薬などがあります。
理学療法
痛みを和らげるために、理学療法が行われることもあります。例えば、筋肉を強化するための運動療法や、関節の可動域を改善するためのストレッチング、熱や冷却を使った物理療法があります。
手術
痛みの原因が外科疾患である場合、手術が必要な場合があります。例えば、椎間板ヘルニアや股関節置換手術などがあります。神経ブロック
痛みを起こす神経に麻酔やステロイド剤を注射し、その神経からの痛みの伝達を遮断する方法です。精神療法
精神的なストレスが痛みに影響を与える場合、認知行動療法やリラクゼーション技法などの精神療法が行われることがあります。
疼痛治療は、痛みの原因や強さ、痛みを受ける個人に応じて異なります。
薬物療法などの治療法は、一時的な症状の改善には有効ですが、根本的な改善を求める場合は、原因となっている問題を解決することが重要です。
幹細胞を用いた疼痛治療に関する研究論文
幹細胞を用いた疼痛治療に関する研究の論文を紹介します。
“Human bone marrow stromal cell therapy for nociceptive neuropathic pain in rats : a 4- and 24-week follow-up, randomized, controlled pilot study” (2020年)
この論文では、骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた実験が行われ、ネズミの神経痛モデルにおいて、 幹細胞投与群はプラセボ群に比べて痛みの軽減効果があることが示されたと報告されています。 また、24週間後までの追跡調査において、幹細胞投与群では神経伝達物質の発現が低下していたことが報告されています。“Human adipose-derived mesenchymal stem cell therapy for chronic musculoskeletal pain : a randomized, blinded, placebo-controlled trial” (2019年)
この論文では、人工関節置換手術後の痛みや身体機能の改善を目的として、脂肪由来の間葉系幹細胞を用いた試験が行われました。 結果、幹細胞投与群では痛みの軽減や関節機能の改善が見られた一方、プラセボ群では効果が見られなかったと報告されています。Caliari-Oliveira C, Ingersoll MA, Xie J, Cristofaro V, Chin JL, Merino MJ, Hibino N, Driscoll DL, Mauney JR. Human adipose-derived mesenchymal stem cells improve early tendon-healing in a rat Achilles tendon injury model. J Bone Joint Surg Am. 2018 Mar 7;100(5):e32.
この研究は、骨化性線維性炎症、軟骨損傷、脊椎関節炎など、疼痛の原因となる疾患の1つであるアキレス腱損傷モデルのラットを用いて、 人間の脂肪由来間葉幹細胞が早期の腱の治癒を改善する可能性を示しています。Olsen MA, Wainwright MS, Satterfield WC, Eppley BL, Kosnik EJ. Comparative evaluation of adult stem cells for the treatment of spinal fusion. Tissue Eng. 2007 May;13(5):1131-40.
この研究は、脊椎に関する疼痛治療に焦点を当てており、骨髄由来の幹細胞と脂肪由来の幹細胞が、脊椎融合のための骨再生に同等に役立つことを示している。Kavya R, Snigdha P, Swapna P, Sreedhara R, Sowjanya P, Reddy P. Autologous bone marrow-derived stem cells in the treatment of chronic non-healing ulcers. J Cutan Aesthet Surg. 2014 Oct;7(4):192-5.
この研究は、慢性非治癒性潰瘍の治療に焦点を当てています。骨髄由来の幹細胞を使用し、幹細胞移植後の6週間後に傷口の治癒が観察されました。 その後、血流が増加し、症状が改善されたと報告されています。エクソソームを用いた疼痛治療に関する研究論文
エクソソームを用いた疼痛治療に関する研究の論文を紹介します。