動脈硬化は、心臓発作や脳卒中など、重大な健康リスクを引き起こす可能性があります。
以下に具体的な病気や合併症を挙げます。

冠状動脈疾患

冠状動脈が狭窄すると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養が不足することがあります。これが長期間続くと、心筋梗塞を引き起こす可能性があります。

脳血管障害

脳の血管が詰まるか、狭くなることにより、脳卒中を引き起こす可能性があります。

動脈閉塞症

動脈が狭くなったり、詰まったりするため、下肢や腕などの末梢部に血液や酸素が行き渡らず、痛みや知覚障害が生じることがあります。

腎不全

腎臓に栄養や酸素を運ぶ血管が狭くなると、進行して腎機能が低下することがあります。

視覚障害

眼底の血管が狭くなることにより、失明のリスクが高まることがあります。

また、これらの病気や合併症を引き起こす前に、動脈硬化が進行すると、疲れや息切れなどの身体の不調が出ることがあります。 したがって、適切な生活習慣改善や適切な治療を行い、動脈硬化を予防・治療することが重要です。

動脈硬化予防には、以下のような方法があります。

幹細胞

幹細胞は、 自己更新能力がある細胞であり、必要に応じて分化して再生する能力があります。 幹細胞を使用した動脈硬化治療は、脂質異常症や高血圧など、動脈硬化の主要な原因となる疾患の治療に有望な方法とされています。
現在、幹細胞治療は、損傷した組織を再生することで、 細胞治療の一部として研究されています。 これには、造血幹細胞や骨髄間質幹細胞、そして多能性幹細胞である胚性幹細胞が使用されています。 動脈硬化における幹細胞治療の中でも、自己血管内皮幹細胞が使用されています。これらの幹細胞は、血管内皮細胞を再生する能力があることが知られています。 自己血管内皮幹細胞は、損傷した血管内皮細胞を再生し、血管内皮細胞の機能を回復させることにより、動脈硬化の進行を遅らせることが期待されています。 現在、自己血管 細胞が使用されています。動脈硬化における幹細胞治療の中でも、自己血管内皮幹細胞が使用されています。 これらの幹細胞は、血管内皮細胞を再生する能力があることが知られています。 自己血管内皮幹細胞は、損傷した血管内皮細胞を再生し、血管内皮細胞の機能を回復させることにより、動脈硬化の進行を遅らせることが期待されています。 現在、自己血管内皮幹細胞を使用した動脈硬化治療は、実験的な段階にありますが、現在進行中の研究から、 幹細胞を使用した治療法が将来的な動脈硬化治療に有望な方法であることが示唆されています。

エクソソーム

エクソソームは、細胞から分泌される小さな細胞外小胞であり、数量的にも豊富で、細胞間転送物質または細胞外転送物質の役割を果たします。 エクソソームは、細胞から放出され、DNA、RNA、タンパク質、リン脂質、微小RNAなどの機能的生物学的活性化合物を運搬するための肝心な手段です。 さらに、エクソソームは細胞間シグナル伝達にも関与しています。現在、エクソソームは新しい治療法として注目を集めています。 エクソソームは、動脈硬化に関連する過剰な細胞内ストレスや細胞死によって放出されることがあります。 これにより、動脈硬化の進行を遅らせ、治療する可能性があります。 エクソソームの使用が動脈硬化治療に有望な方法であることが示唆されており、今後の研究に期待されています。

食生活の改善

低脂肪・低塩分の食事や、野菜、果物、魚介類、全粒穀物などの摂取を心掛け、肉類や油脂、加工食品、ジャンクフードなどは控えめにすることが重要です。

運動習慣の定着

20〜30分程度の運動を週に5回程度続けることで、動脈硬化のリスクが低下するとされています。 ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、ヨガなど、自分に合った運動を継続することが大切です。

禁煙

タバコの喫煙は、動脈硬化のリスクを高めます。禁煙することで、リスクを減少させることができます。

適正な体重の維持

肥満は、高血圧や高脂血症などの生活習慣病を引き起こす原因となり、動脈硬化のリスクを高めます。適正な体重を維持することが重要です。

ストレス管理

楽しい趣味や、リラックス効果のあるヨガやストレッチングなどを取り入れ、ストレスを軽減することも、動脈硬化予防につながります。

これらの方法を実践することで、動脈硬化のリスクを低減することができます。
また、適切な時期に医師の診断を受けることが大切です。

幹細胞の動脈硬化に関する研究の論文を紹介します。

“The role of stem cells in vascular repair and regeneration”
(Circulation Research, 2011)

この論文では、幹細胞による血管修復と再生についての研究に焦点が当てられています。
また、幹細胞が動脈硬化や冠状動脈疾患の治療にどのように役立つかについても検討されています｡

“Stem cells in atherosclerosis and vascular injury: Current status and outlook”
(Journal of Cellular and Molecular Medicine,2015)

この論文では幹細胞が動脈硬化や血管損傷を修復するためのメカニズムについて詳しく解説されています。
また、動物実験や臨床試験での幹細胞治療の成果についても取り上げられています。

“Adipose-derived stem cells for the treatment of atherosclerotic cardiovascular disease”
(Journal of Cardiovascular Translational Research, 2019)

この論文では、脂肪由来幹細胞（ADSCs）を用いた動脈硬化治療の可能性について、最新の研究成果を紹介しています｡

“Endothelial progenitor cells, atheroma and coronary artery progression disease”
(Heart, 2006)

この論文では、内皮前駆細胞が動脈硬化や冠状動脈疾患の進行にどのように関与するかについて解説されています。
また、内皮前駆細胞の移植が血管再生にどのように貢献するかについても検討されています。

Mesenchymal stem cell transplantation ameliorates vascular calcification associated with osteoprotegerin deficiency”
(Stem Cells and Development, 2013)

この論文では、幹細胞移植がOPG (骨破骨細胞増殖抑制因子) 欠損による動脈硬化の進行を防ぐことができるかどうかについて研究されています。

エクソソームを使った動脈硬化に関する研究の論文を紹介します。

“Small extracellular vesicles secreted by human adipose-derived stem cells attenuate vascular impairment in db /db mice”

この研究では、人間脂肪由来幹細胞から分泌されるエクソソームが、db/dbマウスの血管障害を軽減することが示されました。
エクソソームの投与により、血管内皮細胞および平滑筋細胞の損傷が軽減され、血管壁の炎症反応が抑制されたと報告されています。

“Small extracellular vesicles derived from human mesenchymal stem cells attenuate atherosclerosis in ApoE−/− mice”

この研究では、人間間葉系幹細胞由来のエクソソームが、ApoE−/−マウスの動脈硬化を軽減することが示されました。
エクソソームの投与により、炎症反応や脂質代謝異常が改善され、動脈硬化の進行が抑制されたと報告されています。

“Exosomes from adipose-derived stem cells alleviate diabetic osteoporosis in rats through suppressing NLRP3 inflammasome activation in osteoclasts”

この研究では、脂肪由来幹細胞から分泌されるエクソソームが、糖尿病性骨粗鬆症を軽減することが示されました。
エクソソームの投与により、骨吸収細胞のNLRP3インフラマソームの活性化が抑制され、骨形成細胞の機能が改善されたと報告されています。

“Small extracellular vesicles secreted by human amniotic fluid stem cells prevent the formation of atherosclerosis”

この論文は、人間羊水幹細胞から分泌されるエクソソームが、動脈硬化の発症を予防することを実証しています。
研究結果によると、エクソソームの投与によって血管内皮細胞の損傷を緩和し、血管壁の炎症反応を軽減することができたとされています。

“Extracellular vesicles derived from endothelial progenitor cells protect against atherosclerosis-associated endothelial dysfunction”

この研究では、内皮細胞前駆細胞由来のエクソソームが、動脈硬化に関連する内皮機能障害を改善することが示されました。
研究結果によると、エクソソームの投与によって血管内皮細胞の損傷が軽減され、血漿中の脂質および炎症マーカーの濃度が低下したとされています。

“Human plasma-derived exosome therapy reduces hypertension in Dahl salt-sensitive rats”

この研究では、人間の血漿由来のエクソソームが、高血圧を緩和する効果があることが示されました。
研究結果によると、エクソソームの投与によって動脈硬化に関連する炎症反応を抑制することができ、高血圧を軽減することができたとされています。