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バセドウ病の症状を男女別に紹介

この記事では、バセドウ病の症状を男女別にまとめています。

男性と女性で症状の程度が違うの?」「男性でもバセドウ病にかかることがあるの?」といった疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

バセドウ病は女性に多い疾患

そもそもバセドウ病とは、新陳代謝を活発にする働きを持つ甲状腺ホルモンが過剰に産生されてしまう自己免疫疾患です。

バセドウ病の有病率は0.2~1.0%、男女比は1:3~7とわかっており、女性に多い疾患です。一般外来における甲状腺中毒症(甲状腺ホルモン過剰による症状)は、女性150人に1人男性600人に1人の頻度で起こると言われています。

なお、甲状腺ホルモンの量が減る橋本病(甲状腺機能低下症)も同じくらいの頻度で起こります。

またバセドウ病はどの年代の方でも発症する可能性がある疾患ですが、20~40代の方に起こりやすい傾向にあります。

参照元:1.Basedow病・橋本病:診断と治療|日本内科学会雑誌 第97巻 第9号

男女別・バセドウ病の症状

ここからは、バセドウ病の症状について見ていきましょう。

まず男女に共通して起こり得る症状について触れたのち、男性に起こりやすい症状、女性に起こりやすい症状をそれぞれ解説していきます。

男女ともに起こり得るバセドウ病の症状

下記の表は、バセドウ病患者さんに起こり得る症状についてまとめたものです。これらの症状は、男女関係なく現れる傾向にあります。

部位症状
甲状腺腫大(首の腫れ・しこり)
全身症状全身の倦怠感(だるさ)が出る暑がりになる37.5℃程度の微熱が続く食欲が増えるものの体重の減少があるイライラする神経質になる落ち着きがなくなる集中力が低下する寝付きが悪くなる
循環器症状動悸がある(胸がドキドキする)頻脈がある(脈が速くなる)血圧は収縮期血圧(上の血圧)が高く、拡張期血圧(下の血圧)が低くなる脈圧(上の血圧と下の血圧の差)が増大する不整脈が起こる(脈のリズムがおかしくなる)心房細動が起こる(脈が不規則になる)心不全が起こる(心臓のポンプ機能が悪くなる)
消化器症状食欲が増える口や喉が渇く軟便・下痢になる排便の回数が増える
神経・筋症状手指が震える手足がだるく脱力感がある筋力が低下する(ミオパチー)体に力が入らなくなる
皮膚汗をかきやすくなる髪の毛が抜けるかゆみがある皮膚が黒くなる湿潤になる(皮膚がジュクジュクとただれる)
脱灰(だっかい:成分が溶け出す)が起こる骨粗しょう症になる病的骨折(わずかな力で骨折する)
目・顔つき目つきがきつくなる眼球突出(眼球が飛び出たように見える)ものが重なって見える

これらの症状のうち、①甲状腺腫大(首の腫れ・しこり)②頻脈(脈が速くなる)③眼球突出(眼球が飛び出たように見える)を「バセドウ病の三大症状」と言います。

参照元:1.Basedow病・橋本病:診断と治療|日本内科学会雑誌 第97巻 第9号

男性に起こりやすいバセドウ病の症状

男性の場合、先ほど紹介したバセドウ病の症状のほか「周期性四肢麻痺」になりやすい傾向があります。

日本での甲状腺中毒症患者における周期性四肢麻痺の頻度は男性で4.3 %女性で0.04%です。特に20〜40歳代のアジア系男性に見られやすい症状です。

周期性四肢麻痺とは低カリウム血症によって手足が動かなくなる状態のことで、甲状腺中毒症と合併して起こります。「甲状腺中毒性周期性四肢麻痺」または「続発性低カリウム性周期性四肢麻痺」とも呼ばれます。

バセドウ病による周期性四肢麻痺が起こる原因としては、甲状腺ホルモンが高いときの激しい運動や暴飲暴食(炭水化物の過剰摂取やアルコールの摂取)です。

運動や暴飲暴食をした翌日、徐々に脱力感が現れ、立ったり歩いたりすることができなくなるのが特徴です。

周期性四肢麻痺が現れた場合は、医師の判断のもとカリウムを補うことによって回復します。しかし致死的な不整脈を合併することがあるため、手足の脱力感や歩行困難の症状が現れた場合はすぐ病院を受診するようにしましょう。

参照元:1.Basedow病・橋本病:診断と治療|日本内科学会雑誌 第97巻 第9号

    甲状腺中毒性周期性四肢麻痺 3 例の臨床的特徴|日救急医会関東誌 41(2),2020年

女性に起こりやすいバセドウ病の症状

女性の場合、先ほど紹介したバセドウ病の症状のほか、子宮に関連する症状が現れる傾向があります。

具体的には月経量の減少無月経性欲の減退排卵障害不妊などです。

これらの症状はバセドウ病(甲状腺機能亢進症)の影響によって起こるため、治療によって甲状腺機能をコントロールできれば問題なく妊娠・出産できると考えられています。

治療法としては、まず抗甲状腺薬による薬物療法が選択されるのが一般的です。放射線治療(131I内服療法)や手術療法という選択肢もありますが、妊娠の可能性がある女性や妊娠中・授乳中の女性には適応しない場合があります。

なお、妊娠中にバセドウ病を治療しなかった場合、流産や早産、妊娠性高血圧につながるほか、新生児がバセドウ病にかかってしまうリスクがあるため注意が必要です。

参照元:新生児の甲状腺機能亢進症|MSDマニュアル家庭版

バセドウ病の検査方法・治療方法に男女比はない

先の項目では、男女に共通して起こり得る症状、男性に起こりやすい症状、女性に起こりやすい症状についてそれぞれ解説しました。

バセドウ病の有病率や症状には男女比がありますが、検査方法・治療方法に男女比はありません。

ここからは、検査方法・治療法方法について詳しく解説します。

バセドウ病が疑われる場合は血液検査が行われる

自覚症状がある場合や、医師によってバセドウ病の可能性があると判断された場合、まずは血液検査が行われるのが一般的です。血液検査では、主に甲状腺ホルモン(FT3・FT4・TSH)や自己抗体(TRAb・TSAb)の値を測定します。

そのほか、必要に応じて超音波検査や心電図、胸部X線検査、MRI、CTによる検査が行われることもあります。

バセドウ病の治療法は主に3種類

検査によってバセドウ病だとわかった場合、下記いずれかの治療が行われます。

治療方法詳細
内科的治療(薬物療法)抗甲状腺薬の投与
手術療法甲状腺の約2/3以上を切除する甲状腺亜全摘術、または甲状腺のすべてを摘出する甲状腺全摘術
放射線治療(131I内服療法)放射性ヨウ素が含まれるカプセルを飲んでから行うアイソトープ(放射性ヨウ素内用)治療

参照元:日本臨床検査医学会

一般的に、第一選択となるのは内科的治療(薬物療法)です。しかし副作用が強い場合や2年以上継続していても薬をやめられるほど改善しなかった場合は、そのほかの治療を勧められることもあります。

妊娠の可能性がある女性や妊娠中・授乳中の女性、小児には適応しない治療法・薬剤もあるため、詳しくは医師と相談のうえで治療法を検討してください。

バセドウ病が疑われる場合はクリニックへ

バセドウ病は女性に起こりやすい疾患ですが、男性が発病することもあります。

また、症状の現れ方に大きな男女比はありません。男性の場合は周期性四肢麻痺、女性の場合は月経量の減少無月経性欲の減退排卵障害不妊などが現れることがありますが、そのほかの症状は男女関係なく見られる傾向にあります。

バセドウ病の検査方法・治療方法にも男女比はないため、バセドウ病が疑われる場合は早めにお近くの病院を受診してください。

なお当院では、バセドウ病による目の異常(眼球突出や目のクマ)にお悩みの方に向けて、眼形成の施術を実施しています。内科専門医も在籍しておりますので、お気軽にカウンセリングへお越しください。

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