MENU

バセドウ病の寿命は短いというのは本当?

「バセドウ病の人の寿命が短いって本当?」

「バセドウ病のせいで死亡リスクが高くなることはあるの?」

この記事では上記のような疑問をお持ちの方に向けて、バセドウ病と健康寿命の関連性についてまとめています。また、記事の後半ではバセドウ病の治療方法と死亡リスクの関連性についても解説しています。

ご自身やご家族、周りの人がバセドウ病であり、不安を抱えているという方の参考になれば幸いです。

目次

バセドウ病の治療を中断することで寿命が短くなる恐れがある

そもそもバセドウ病は、首の腫れや動悸、頻脈、疲れやすさ、微熱、いらいら、睡眠障害など、さまざまな症状が現れる自己免疫疾患のひとつです。甲状腺機能亢進症とも呼ばれます。

通常、バセドウ病は症状に合わせた適切な治療を受けることでコントロールが可能です。しかし、治療を受けなかったり中断したりすることでバセドウ病が悪化し、寿命が短くなるケースもあります。

特に警戒すべきは、「甲状腺クリーゼ」という病気です。

甲状腺クリーゼは、バセドウ病の治療が不十分または未治療の状態と、肺炎などの感染症や大ケガ、手術などのストレスとが重なってしまうことで起こります。

体が甲状腺ホルモンの過剰な状態に耐えきれなくなり、複数の臓器の機能が低下してしまうのです。

高熱や頻脈、けいれん、黄疸のほか、意識レベルが低下したり、呼吸が止まったりすることもあります。甲状腺クリーゼの状態に陥ってしまった場合、およそ10%の人が亡くなるとも報告されています。

また、甲状腺クリーゼ以外にも、不整脈や心不全によって突然死が起こる可能性もゼロではありません。

とはいえ、これらのケースは適切な治療を受けることで回避できます。

バセドウ病の人は全員寿命が短い」「バセドウ病になると直接的に寿命が短くなる」というわけではないため、寛解するまで根気強く治療を続けることを推奨します。

参照元:甲状腺クリーゼ|一般社団法人 日本内分泌学会

バセドウ病で寿命が短くなる可能性が特に高いのは高齢者と新生児

先述した通り、バセドウ病は適切な治療を受けることによってコントロールできる疾患です。

しかし高齢者や新生児の患者さんの場合、病気の発見が遅くなったり、治療が遅れたりすることで、さらに死亡リスクが高まる可能性もあります。

以下では、その理由や注意点について詳しく解説します。

高齢者のバセドウ病は健康寿命や生命の予後に直結する

高齢者におけるバセドウ病は、心房細動(脈が不規則になる病気)や心不全(心臓のポンプ機能が悪くなった状態)、また骨粗しょう症などを引き起こす可能性があります。

心房細動や心不全、骨粗しょう症は、どれも高齢者にとって健康寿命や生命予後に直結する危険因子です。

というのも、高齢者のバセドウ病患者さんのなかには「潜在性甲状腺機能亢進症(潜在性甲状腺中毒症)」の状態になっている方も少なくありません。

潜在性甲状腺機能亢進症とは、明確な自覚症状がなく、血中の遊離甲状腺ホルモン(FT4)

は基準値であるものの、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が下回っている状態を指します。

症状が現れないことから、人間ドックや検診などの検査によって偶然発見されるケースが大半です。

潜在性甲状腺機能亢進症の場合、心房細動や骨密度の低下、骨折、高脂血症の発症率が高くなるほか、心血管疾患での死亡率が有意に高いという可能性が示唆されています。

女性に多く、年齢が上がるにつれて発症の可能性が高まるとも報告されています。

とくに、持病がある方はかかりつけ医との連携を取ったり、定期的に健康診断を受けたりすることが必要だと言えるでしょう。

参照元:高齢者の潜在性甲状腺機能異常症の診断と管理|日本内分泌学会雑誌 第96巻 第4号

    甲状腺疾患:診断と治療の進歩|日本内科学会雑誌 第99巻 第4号

    潜在性甲状腺機能異常|一般社団法人 日本内分泌学会

    潜在性甲状腺機能亢進症|ドクターサロン59巻 2月号

新生児のバセドウ病は治療しなければ死に至る恐れがある

新生児におけるバセドウ病(甲状腺機能亢進症)は、治療を受けないことで死に至る可能性があります。

新生児がバセドウ病にかかる主な原因としては、母親のバセドウ病です。具体的には、母親が妊娠中にバセドウ病にかかっていた場合や、妊娠前にバセドウ病の治療を受けていた場合に発症する可能性があります。

心拍数や呼吸数の増加易刺激性(些細な刺激に対して反応する状態)、発育不良(体重増加の遅れ)、嘔吐下痢眼球の突出といった症状が見られます。

通常、新生児の甲状腺機能を調べるために行われるスクリーニング血液検査によって発覚するケースがほとんどです。

新生児バセドウ病だと発覚した場合は、チアマゾールなど甲状腺ホルモンの量を減少させる抗甲状腺薬によって治療が行われます。

しかし適切な治療が開始されない場合、死亡リスクが高まるほか、頭蓋縫合早期癒合症(頭蓋骨が早期に閉じてしまう状態)、知的障害発育不全低身長多動などにつながる恐れがあります。

参照元:新生児の甲状腺機能亢進症|MSDマニュアル家庭版

バセドウ病が発覚した場合は治療でコントロールすることが大切

バセドウ病になったからと言って、必ずしも寿命が短くなってしまうわけではありません。医師の診察や判断のもと治療を受けるようにすれば、症状の悪化や死亡リスクの増加を防ぐことにつながります。

また、バセドウ病はストレスと密接に関係しているため、なるべく思い詰めないようにすることも大切です。

ストレスを抱えたままの状態でいると治療の有効性が下がってしまうリスクがあるためです。医師や家族、周りの人とうまく連携を取りながら、根気よく治療に臨んでください。

また、当たり前のことではありますが、症状に合わせた治療を受けることも必要です。バセドウ病では内科的治療(薬物療法)、手術療法放射線治療(アイソトープ治療)などの治療が行われるのが一般的です。

しかし、眼球突出まぶたの腫れなど「」の症状が顕著な場合、別途眼形成の施術が適応になるケースがあります。

当院ではバセドウ病によって目に異常が出てしまったという患者さんに向けて、眼窩脂肪減圧や眼瞼下垂の施術を提供しています。内科専門医も在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次