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バセドウ病は完治する?治療期間や治療のためのポイントを解説
「バセドウ病になってしまったけど、完治はする?」「完治はしないと言われたけど、本当?」と考えている方も多いのではないでしょうか。
また「治療を開始したものの、なかなか症状が落ち着かない」「いつ薬をやめられるのか、めどが立たない」と悩んでいる方も多いかもしれません。
先に結論を述べると、バセドウ病が完治することはありません。ただし、治療によって完治に近い状況(寛解)を目指すことは可能です。
そこでこの記事では、バセドウ病における寛解という考え方や、治療による寛解率・再発率の違いについてまとめました。また、記事の後半ではバセドウ病で完治に近い状況を目指すためのポイントについてもまとめています。
バセドウ病は完治しないため治療では寛解を目指す
繰り返しになりますが、バセドウ病は完治しない病気です。
完治ではなく、症状や甲状腺機能の数値をコントロールして寛解(かんかい)を目指していくことがバセドウ病治療の目的になります。寛解とは病気による症状や検査結果の数値異常が消失、または軽くなっている状態のことです。
具体的には、抗甲状腺薬の内服などの治療を終了しても甲状腺ホルモン(FT3・FT4・TSH)や自己抗体(TRAb・TSAb)の値が正常に保たれ、バセドウ病特有の症状が現れない状態を寛解と言います。
バセドウ病の治療方法によって寛解率・再発率も異なる
バセドウ病の治療法は、主に①内科的治療(薬物療法)②放射線治療(131I内服療法)③手術療法の3種類です。
多くの場合、第一選択として抗甲状腺薬による内科的治療が勧められますが、寛解率や再発率などに違いがあります。
特に寛解率が低く再発率が高いとわかっているのは抗甲状腺薬による内科的治療です。一方で放射線治療(131I内服療法)や手術療法の場合は高い効果が見込めますが、リスクもゼロではありません。
そこで、それぞれのメリット・デメリットを下記の表にまとめました。
治療方法 | メリット | デメリット | |
内科的治療(薬物療法) | チアマゾール(MMI)やプロピオチオウラシル(PTU)などの抗甲状腺薬を服薬する | ほぼすべての患者さんに適応される 外来で治療可能なため、治療までのハードルが低い 不可逆的な甲状腺機能低下症に陥るリスクがほとんどない | 寛解率が低く、また寛解に至るまでの治療期間も長い 一度寛解した場合の再発率が高い 服薬中止や予後を判断する確かな指標が確立されていない 抗甲状腺薬による副作用で治療の継続が難しい患者さんもいる |
放射線治療(131I内服療法) | 放射性ヨウ素が含まれるカプセル(131I)を飲み、放射線を照射する治療法 ※アイソトープ(放射性ヨウ素内用)治療 | 安全性・確実性の高さに期待できる 法律上では、500 MBq(13.5 mCi)までであれば外来治療も可能 | 治療を受けた多くの患者さんは、甲状腺機能低下症になるリスクがある 治療後に甲状腺眼症が発症または増悪するケースが報告されている 妊婦・授乳婦は行えない |
手術療法 | 甲状腺の約2/3以上を切除する(甲状腺亜全摘術) または甲状腺のすべてを摘出する(甲状腺全摘術) | 早期的に治療の効果が見込める 確実性の高さに期待できる | 入院や麻酔が必要なほか、手術による傷跡が残る 頻度は低いものの、反回神経麻痺や副甲状腺機能低下症が現れるリスクがある 熟練した甲状腺外科専門医のもとで手術を受ける必要がある |
先述した通り、基本的には第一に抗甲状腺薬による内科的治療が行われます。
なお、放射線治療(131I内服療法)や手術療法治療法が適応となるのは、下記のケースに該当する患者さんです。
- 抗甲状腺薬で重大な副作用が現れてしまった場合
- バセドウ病と甲状腺がんなどの腫瘍を合併している場合
- 妊娠中に副作用が現れたなどの理由で抗甲状腺薬が使えなくなった場合
- 肝臓病や心臓病などの慢性疾患がある場合
- 早期的な寛解を目指している場合
- 甲状腺腫が大きい場合
- 用法・用量を守って服薬できない場合
- 服薬開始後、1年半~2年以上経過しても休薬・寛解の目処が立たない場合
「なるべく完治に近い状況を目指したい」「治療法に対して不安がある」という方は、かかりつけ医に相談するか、セカンドオピニオンを検討してみるとよいでしょう。
参照元:III.治療ガイドライン―現状と問題点|日本内科学会雑誌 第99巻 第4号・平成22年 4月10日
バセドウ病診療に関する最新の知見|公益財団法人山口内分泌疾患研究振興財団 内分泌に関する最新情報 2020年12月
甲状腺診療における注意点|2021 年度日本内科学会生涯教育講演会
バセドウ病で完治に近い状況を目指すためのポイント
先の項目ではバセドウ病の治療法について解説しました。
バセドウ病は治療によってコントロールを目指すことが大切ですが、私生活で気を付けなければいけないポイントもいくつかあります。
バセドウ病で完治に近い状況を目指すためにも、以下5つのポイントに気を付けましょう。
- バセドウ病の症状の大小にかかわらず、禁煙をする
- 甲状腺機能亢進状態のときは、激しい運動を避ける
- ストレスの多い生活を避け、休養を心がける
- 抜歯や手術など出血を伴う処置やケガを避ける
- 自己判断での断薬はせず、必ず医師に相談する
とくに喫煙はバセドウ病眼症(眼球突出などの目の異常)を発症するリスクが増大するほか、治療の有効性が下がる行為です。せっかく始めた治療の効果を損ねてしまわないためにも、タバコは避けるようにしてください。
また、強いストレスもバセドウ病治療の有効性を下げてしまう恐れがあります。仕事や家庭、対人関係など、ストレスの原因は人それぞれですが、なるべく負担の少ない生活を心がけましょう。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
参照元:公益財団法人 喫煙科学研究財団
バセドウ病目の完治・寛解を目指すなら当院へ
バセドウ病は完治しない病気ですが、適切な治療を受けることによって完治に近い状況(寛解)が目指せます。
治療方法によってそれぞれメリット・デメリットあり、寛解率や再発率なども異なります。前向きな気持ちで治療に臨むためにも、ご自身の治療法についてよく理解するようにしましょう。また、かかりつけ医に相談したり、セカンドオピニオン外来を利用したりすることも大切です。
なお当院では、眼球突出や目の下のクマなど、バセドウ病特有の目の症状(バセドウ病目・バセドウ眼症)にお悩みの方に向けて、眼形成の施術を実施しています。
「治療を続けていても目の症状だけ改善されない」「変わってしまった顔つき・目つきを治したい」とお悩みの方は、ぜひお気軽に当院のカウンセリングをご利用ください。