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バセドウ病によるまぶたの腫れの治療法は4つ|効果や費用について解説

バセドウ病によって引き起こされる症状・まぶたの腫れには、ステロイド治療放射線治療手術という3つの方法でアプローチ可能です。

症状の程度によっても適切な治療法が異なるため、まぶたの腫れが起こる原因など基本的な知識も交えながら治療法について解説していきます。

まぶたの腫れを治療したい」「治療を受けたものの、まぶたの腫れが治らない」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

目次

バセドウ病でまぶたの腫れが起こる原因

バセドウ病によるまぶたの腫れは「バセドウ病眼症」や「甲状腺眼症」のひとつです。

バセドウ病と同じく自己免疫の異常によって引き起こされると考えられており、まぶたや眼球の後ろの組織に炎症が起きることで症状が現れます。

以前はバセドウ病(甲状腺機能亢進症)が原因でまぶたの腫れなどの眼症が起こると考えられていましたが、実はそうではありません。

甲状腺ホルモンが正常または低下している人でもバセドウ病眼症になることがあるため、「自分はバセドウ病ではないから大丈夫」などと判断してしまうのは危険です。

まぶたの腫れなどの異常があり、数日経っても治らない場合は、適切な検査・治療を受ける必要があります。

参考:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

まぶたの腫れがある場合の検査方法

バセドウ病によってまぶたの腫れが引き起こされているのかどうかを検査する方法は、多岐にわたります。

眼疾患のチェックだけではなく、全身性疾患が合併していないかを検査する必要があるためです。

そのため、治療前には以下のような検査が行われるのが一般的です。

  • 血液像検査
  • 肝機能検査
  • 腎機能検査
  • 脂質検査
  • 心電図検査
  • 骨密度検査
  • 血糖検査
  • HbA1c検査
  • 糖負荷試験(75gOGTT)
  • 感染症検査
  • 免疫検査
  • 胸部X線検査
  • 胃内視鏡検査
  • 腹部エコー検査

その中でも、眼科診察では眼窩部 MRI(または CT)による眼症の重症度や活動性の検査・鑑別診断や、合併する眼科疾患の診断などが行われます。

参考:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

バセドウ病によるまぶたの治療法は重症度によって異なる

バセドウ病眼症の治療方針は、眼症がどれくらい現れているかの程度によって異なります。

それぞれの重症度に応じた適切な治療方針については、以下のとおりです。

重症度状態治療方針
最重症例失明の危険性がある免疫抑制療法
中等症~重症例炎症が活発に起こっている免疫抑制療法または放射線照射療法
炎症が治まっており、目の症状が残っている機能回復手術
軽症日常生活への障害がわずか局所注射または経過観察

参考:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

症状や経過に合わせて、複数の治療法が併用されるケースもあります。

それでは、下記にてそれぞれの治療方法について以下で詳しく見ていきましょう。

バセドウ病によるまぶたの腫れの治療法①免疫抑制療法(ステロイド治療)

免疫抑制療法は、最重症例または中等症~重症例かつ活動性の眼症だと診断された場合に第一選択となる治療法です。

炎症を鎮静化させて、甲状腺症の活動性を抑えることを目的に行われます。

具体的な治療内容・流れについては以下のとおりです。

治療内容・流れ
1クール(メチルプレドニゾロンを1日1g、3日間連続して投与)を3クール繰り返す方法(Daily法)
メチルプレドニゾロンの1回投与量を0.5g未満に減量する、または総投与量を8g未満に減量する方法
メチルプレドニゾロンを週に1回0.5g、計6回投与し、そのあと週に1回0.25g、6回投与する方法(weekly法)

免疫抑制療法の有効性は77%だと報告されています。

また、免疫抑制療法によって引き起こされる可能性のある副作用は、以下のとおりです。

  • 消化性潰瘍
  • 糖尿病(耐糖能異常)
  • 感染症(結核)
  • 骨粗鬆症の悪化
  • 劇症肝炎
  • 心停止
  • 精神症状

まれに重篤な副作用が起こることがあるため、治療前によく医師の説明を受けるようにしてください。

参考:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

バセドウ病によるまぶたの腫れの治療法②放射線治療

放射線治療はリンパ球の破壊をする目的で行われる治療法で、活動期かつ中等症~重症例の眼症、また35 歳以上の人が対象です。

まぶたの腫れ・むくみや外眼筋腫大、視神経症に対しての効果は期待できますが、眼球突出に対する効果はあまり期待できません。

放射線治療では計15~20Gyの照射を2週間で行うのが一般的で、経過に合わせて再照射が行われることもあります。

放射線治療を単独で行った場合の有効性は59%(ランダム化比較試験での有効性は44%)であり、ゆるやかに効果が現れるという特徴があります。

また、放射線治療によって引き起こされる可能性のある副作用は、以下のとおりです。

  • 一時的な炎症の増悪
  • 白内障
  • ドライアイ
  • 網膜症の進行
  • 局所の脱毛
  • 頭頸部腫瘍の発生

一時的に炎症が悪化する可能性があるため、プレドニゾロン(15~30mg)の内服が必要になるケースもあります。

参考:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

バセドウ病によるまぶたの腫れの治療法③機能回復手術

機能回復手術は、中等症~重症例で、炎症が落ち着いた非活動性の眼症ではあるものの、目の症状が残っている場合に行われる治療法です。

主な方法は以下のとおりです。

治療方法詳細
眼窩脂肪減圧術目の周りの脂肪や骨を切除し、増えた体積を減らすことで眼球突出を改善する方法
斜視手術眼を動かさずに筋肉の位置を移動させ、目の位置を調整することで斜視を改善する方法
眼瞼手術上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)を短くする、または筋膜を吊り上げることで、まぶたの腫れや眼瞼後退、睫毛内反症(逆さまつげ)を改善する方法

治療方法によっても異なりますが、起こりうる副作用は以下のとおりです。

  • 出血
  • 痛み
  • 赤み
  • 創部感染
  • 縫合不全
  • 麻酔・薬剤アレルギー
  • 再発・腫瘍の残存
  • ケロイド
  • 瘢痕(傷跡)

参考:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

バセドウ病によるまぶたの腫れの治療法④局所注射

局所注射は、眼症が軽症で、日常生活への障害がわずかな場合に選択される治療法です。

まぶたの腫れや上眼瞼後退がある場合、またMRIで眼瞼部の炎症、まぶたの脂肪組織の

腫大や、上眼瞼挙筋の肥大・炎症があると認められた場合に行われます。

トリアムシノロンの局所注射が一般的ですが、軽症~中等症の斜視がある場合はボツリヌス毒素の局所注射が行われるケースもあります。

投与する薬剤の種類にもよりますが、起こりうる副作用は以下のとおりです。

  • 緑内障
  • 後のう白内障
  • 失明
  • 視力障害
  • 色素沈着
  • かゆみ
  • 血栓症

参考:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

   医療用医薬品 : ケナコルト−A

当院ではまぶたの腫れにお悩みの方に向けて適切な治療法を提案します

バセドウ病によるまぶたの腫れには、重症度に応じて下記の治療法でアプローチ可能です。

重症度状態治療方針
最重症例失明の危険性がある免疫抑制療法
中等症~重症例炎症が活発に起こっている免疫抑制療法または放射線照射療法
炎症が治まっており、目の症状が残っている機能回復手術
軽症日常生活への障害がわずか局所注射または経過観察

当院では、まぶたの腫れにお悩みの方に向けてステロイドパルス療法や眼形成手術、ステロイドの局所注射を提供しています。

症状やご希望に沿った治療法を模索いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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