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バセドウ病による目の症状一覧と検査&治療方法

動悸や息切れ、首の腫れ、疲れやすさ、イライラなど、さまざまな症状が現れるバセドウ病。その症状の中でも、目に起こる症状を自覚している方も多いのではないでしょうか。

バセドウ病による目の症状は「バセドウ病眼症」「甲状腺眼症」とも呼ばれます。

目そのものに異常が現れる「原発性症状」と、目に生じた異常が原因で現れる「続発性症状」に大別されるのが特徴です。

さまざまな症状が現れるため「目の症状がバセドウ病によるものなのか気になっている」「病院へかかる前に、目の症状について知っておきたい」という方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、バセドウ病によって起こる目の症状について画像付きでまとめています。

目次

バセドウ病による目の症状:原発性症状

原発性症状とは、バセドウ病そのものが原因で現れる症状です。見た目に影響が及ぶことから、来院のきっかけになるケースも少なくありません。

眼球突出

眼球突出とは、眼球が押し出され前に飛び出して見える状態のことです。その多くはバセドウ病(甲状腺機能亢進症)によるものであり、眼の後ろや周りの組織が腫れることで引き起こされます。

両目に現れるケースが多く、目の痛み・乾燥などの眼症状と動悸・発汗量の増加などの全身症状が同時に起こる場合は特にバセドウ病が疑われます。

感染症や腫瘍、球後出血(眼窩内の出血)などが原因で起こることもあるため、「眼球突出がある=バセドウ病」というわけではありません。

ただし、下記のような症状がある場合や、数日以内に眼球突出が現れた場合は直ちに医師の診察を受けることが推奨されます。

  • 視力障害または視力の低下
  • 複視(ものが重なって見える)
  • 目の痛みまたは目の赤み
  • 頭痛や発熱
  • 突出した眼球の拍動
  • 新生児や小児における眼球の突出

参照:眼球の突出|MSD マニュアル

眼瞼後退

眼瞼後退(がんけんこうたい)とは、まぶたを上下する筋肉が収縮してしまう状態です。上まぶたが過剰に引き上げられることが多く、通常時でもびっくりしたような目つきになってしまう点が特徴です。

本来ならまぶたに隠れている白目が目立ってしまうため、症状の度合いが強いと先述した眼球突出と間違われることもあります。

また、正面を見ているときよりも、下を見たときに白目が目立つのも眼瞼後退の特徴です。

バセドウ病による目の症状:続発性症状

バセドウ病では、眼球突出や眼瞼後退になることによって間接的に以下のような症状が現れるケースがあります。これを続発性症状と言います。

症状症状の特徴
痛み目や目の周囲の痛み
視力低下ものが見えにくくなる
複視ものが重なって見える
視野欠損視野が狭くなったり欠けたりする
流涙なみだが止まらなくなったり、なみだ目になったりする
眼瞼腫脹まぶたが腫れる
兎眼まぶたを完全に閉じられない
結膜浮腫目の表面を覆っている透明な粘膜が充血したり腫れたりする
涙丘の発赤・腫脹目頭の内側にあるピンク色の部分が赤くなったり腫れたりする
Graefe 徴候下を見つめるとき、隔膜の上に白目が残る状態になる
眼球運動障害眼球を動かす外眼筋の運動障害が起こる
角膜障害びらん、潰瘍、混濁、壊死、穿孔など、角膜に起こる症状
視神経症視神経に障害が起こり、急激な視力の低下や視野が欠ける
網膜障害網膜の血管に障害が起こり、視界がかすんだり視力が低下したりする

視力低下や複視など、目の機能に影響が及ぶこともあるため、早めに検査・治療を受けることが推奨されます。

参照:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

バセドウ病による目の症状があるときの検査方法

バセドウ病による目の症状が疑われる場合は、眼球突出度測定MRI検査CT検査が行われます。

また、バセドウ病が疑われる場合は血液検査が行われるほか、全身性疾患がないかをチェックするために以下のような検査が実施されることもあります。

  • 肝機能検査
  • 腎機能検査
  • 脂質検査
  • 心電図検査
  • 骨密度検査
  • 血糖検査
  • HbA1c検査
  • 糖負荷試験(75gOGTT)
  • 感染症検査
  • 免疫検査
  • 胸部X線検査
  • 胃内視鏡検査
  • 腹部エコー検査

なお、バセドウ病眼症が疑われる場合は、一般眼科または一般内科を受診して問題ありません。検査を経てさらに詳しい検査・治療が必要だと判断された場合は、専門の眼科医に紹介してもらえるケースがほとんどです。

参照:甲状腺眼症診療の手引きDigest 版

バセドウ病による目の症状の治療方法

バセドウ病眼症であると診断された場合の治療方法は、重症度によって異なります。

免疫抑制療法

失明の危険性があるなど目の症状が酷く、活動性の眼症だと判断された場合はメチルプレドニゾロンによる免疫抑制療法(ステロイド・パルス療法)が選択されます。

症状によっては後述する放射線外照射療法が併用されるケースや、経口糖質コルチコイド薬による後療法が行われるケースもあります。

放射線外照射療法

35 歳以上で活動期かつ中等症~重症例の眼症があると診断された場合には放射線外照射療法が行われます。

まぶたの腫れ・むくみや外眼筋腫大、視神経症などの症状に適応しますが、眼球突出に対する効果はほとんど期待できません。

機能回復手術

機能回復手術は、炎症が落ち着いてはいるものの、目の症状が残っている場合(非活動性の眼症)に行われます。

主な治療法は下記の3つで、症状や希望によって適応となる方法は異なります。

症状治療法
眼球突出がある場合目の周りの脂肪や骨を切除する「眼窩脂肪減圧術」
斜視がある場合筋肉の位置を移動させ、目の位置を調整する「斜視手術」
まぶたの腫れや眼瞼後退、睫毛内反症(逆さまつげ)がある場合上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)を短くする、または筋膜を吊り上げる「眼瞼手術」

バセドウ病による目の症状にお悩みなら当院へ

バセドウ病になると、眼球突出眼瞼後退(がんけんこうたい)といった「原発性症状」や、間接的に起こる痛み・視力低下・複視といった「続発性症状」が現れることがあります。

バセドウ病による目の症状を「バセドウ病眼症」「甲状腺眼症」と呼びます。

一度バセドウ病眼症になってしまうと「治らないのではないか」と不安になる方も多いかもしれませんが、症状に応じた治療法によってアプローチ可能です。

当院では、ステロイドパルス療法や眼形成手術、ステロイドの局所注射などのアプローチ方法をご用意しています。

内科医との連携を図り、症状に合わせた治療法をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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