胃がん手術後の再発予防:！最新の治療法や対策などを解説

胃がんの手術を乗り越えた後も、再発の不安は尽きないものです。

「もしまた胃がんが出てきたら…」そんな思いに悩まされていませんか？

とは言っても胃がんの再発予防には、効果的な方法がたくさんあります。適切な治療と定期的な検査、そして生活習慣の改善で、再発のリスクを大きく減らすことができるのです。

本記事では、胃がんの再発予防に関する最新情報をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

胃がん再発のリスクと予防の重要性とは

胃がんの再発予防は、患者さんの生存率を大きく左右する課題です。再発のリスクを理解し、適切な対策を取ることが欠かせません。

国立がん研究センターの統計によると、胃がんの5年相対生存率は66.6%です。しかし、再発した場合はこの数値が大きく低下します。特に進行度が高いステージⅢの患者さんでは、5年以内の再発確率が高まります。。

再発のメカニズムは複雑ですが、主に3つが考えられます。まずは手術で取り切れなかった微小ながん細胞が成長することです。そのほか、血液やリンパ液中のがん細胞が別の場所で増殖や、新たながんが発生することが挙げられます。

また、胃がんの主な再発部位は、肝臓、腹膜、リンパ節です。肺や骨への転移も見られます。

参考：国立研究開発法人国立がん研究センター「がん情報サービス」

術後補助化学療法による再発予防

胃がんの術後補助化学療法は、再発リスクを大幅に低減する効果的な治療法です。標準的な治療として、S-1という経口抗がん剤が広く用いられています。

S-1療法は、ACTS-GC試験の結果に基づき、ステージII・IIIの胃がん患者さんに推奨されています。この治療法では、S-1を4週間服用し、2週間休薬するサイクルを1年間続けます。

しかし、S-1にも副作用があります。よくある症状として、吐き気や食欲不振、下痢などが挙げられます。これらの副作用は適切な対処で軽減できるので、心配しすぎる必要はありません。

最近では、より効果的な治療法の開発が進んでいます。例えば、S-1とドセタキセルを併用するSOX療法が注目を集めています。この新しい治療法は、特にステージIIIの患者さんで良好な結果を示しています。

参考：日本医癌学会「胃癌治療ガイドライン」

ピロリ菌除菌と胃がん再発予防

ピロリ菌の除菌は胃がんの再発予防に重要な要素です。ピロリ菌と胃がんの関連性は、多くの研究で明らかになっています。日本ヘリコバクター学会の報告によると、ピロリ菌感染者は非感染者に比べ、胃がんのリスクが高まるとされています。

なお、ピロリ菌の除菌療法は比較的簡単です。1週間、1日2回の内服薬を飲むだけであり、プロトンポンプ阻害薬と2種類の抗生物質を組み合わせて使用します。

しかし、ここで安心してはいけません。除菌後も胃がんのリスクは完全にゼロにはならないのです。千葉大学の研究チームは、除菌後も5〜15%の患者さんに胃がんの再発が見られると報告しています。

そのため、除菌後のフォローアップが非常に重要になります。専門医は、除菌後5年間は毎年、その後も2年に1度の胃カメラ検査を推奨しています。

参考：日本ヘリコバクター学会「ピロリ菌感染の診断と治療」

参考：千葉大学「早期胃癌の異所性異時性再発の原因の一端を解明」

定期的な検査と早期発見について

胃がんの再発を早期に発見するには、定期的な検査が不可欠です。適切なスケジュールで検査を受けることで、再発のリスクを減らせます。

日本胃癌学会のガイドラインによると、術後5年間は3〜6ヶ月ごとの検査が推奨されています。その後も年1回の検査を継続することが大切です。

検査方法は主に3つあります。まず、内視鏡検査。胃の内部を直接観察できる方法です。次にCT検査。体内全体を短時間で調べられ、転移の有無も分かります。最後に腫瘍マーカー検査です。血液検査は簡単に行えますが、補助的な役割にとどまります。

これらの検査を組み合わせることで、再発の早期発見率が高まります。再発の早期発見は、治療の選択肢を広げ、予後を大きく改善します。例えば、再発が早期に見つかれば、外科的切除や放射線療法など、より効果的な治療が可能になるのです。

参考：日本医癌学会「胃癌治療ガイドライン」

胃がんの最新の再発予防研究

胃がんの再発予防研究は日々進化しており、特に注目すべきは、免疫療法、個別化医療、そして新しい予防法の臨床試験です。

免疫療法の分野では、国立国際医療研究センター病院の報告によると、ニボルマブやペンブロリズマブといった免疫チェックポイント阻害剤の有効性が示されています。これらの薬剤は、患者さん自身の免疫システムを活性化させ、がん細胞と戦う力を高めます。驚くべきことに、従来の治療法では効果が限られていた進行胃がんにも効果を発揮しているのです。

個別化医療も着実に進展しています。千葉大学の研究グループは、患者さんの背景胃粘膜の遺伝子発現を解析し、再発リスクを予測する新たな方法を開発しました。この成果により、患者さんごとに最適な治療法を選択できる可能性が広がりました。

さらに、山口大学では、CAR-T細胞療法という革新的な治療法の開発が進んでいます。この治療法は、患者さん自身のT細胞を改変して、がん細胞を攻撃する力を持たせるものです。固形がんへの適用も期待されており、胃がんの再発予防にも応用できる可能性があります。

これらの新しい治療法や予防法は、現在、臨床試験の段階にあります。近い将来、胃がんの再発に悩む患者さんに、新たな希望をもたらすことでしょう。医療の進歩は日進月歩。胃がんの再発予防も、着実に前進しているのです。

参考：山口大学「免疫でがんに挑む CAR-T細胞療法～新しい免疫療法の開発：山口から世界へ」

参考：千葉大学「早期胃癌の異所性異時性再発の原因の一端を解明」

参考：国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院「胃がんの化学療法について」