肺がんの再発予防をするには?免疫療法の可能性と自分でできる取り組み

本ページは、一般的な内容を基に作成していますが、個々の症状や治療法には違いがありますので、具体的な治療については必ず専門の医師やクリニックにご相談ください。

肺がんの再発に不安を感じていませんか?

多くの患者さんが同じ思いを抱えています。

しかし、適切な治療と生活習慣の改善で、再発のリスクを下げることが可能です。

本記事では、肺がん再発の現状と課題、従来の予防法、そして免疫療法について詳しく解説します。

さらに、患者自身ができる対処法も紹介していきます。

目次

肺がん再発の現状と課題

肺がんの再発は、多くの患者にとって大きな不安材料です。

しかし、手術後の再発率は決して低くありません。

特に非小細胞肺がん患者の約20〜30%(ステージ1)が2年以内に再発するケースがあります。

なお、非小細胞肺がんとは、小細胞がんではない肺がんの総称であり、肺がんの8割超を占めます。

再発リスクが高い患者群には、いくつかの特徴があります。

例えば、腫瘍のサイズが大きい方や、リンパ節転移がある方は要注意です。

また、血管浸潤やリンパ管侵襲(しんしゅう)が見られる場合も再発のリスクが高まります。

喫煙歴のある方も再発のリスクが高くなります。

さらに、高齢の方や男性の方がやや再発しやすい傾向にあるといえます。

これらのリスク因子を持つ患者には、より慎重な経過観察が必要でしょう。

参考:近畿中央呼吸器センター 診療部

参考:国立研究開発法人 日本医療研究開発機構

従来の肺がん再発予防法

肺がんの再発を防ぐため、従来から様々な方法が用いられてきました。

そのなかでも特に重要なのが手術後の化学療法、放射線療法、そして定期的な経過観察です。

手術後の化学療法は、目に見えない小さながん細胞を退治する方法です。

抗がん剤を使って体全体を攻撃し、残存するかもしれないがん細胞を叩きます。

特にステージII期やIII期の患者さんには効果を期待できます。

放射線療法も再発予防に期待がかかります。

手術で取りきれなかった部分やリンパ節に潜んでいるかもしれないがん細胞を狙い撃ちします。

最新の技術を使えば、正常な組織へのダメージを最小限に抑えられるでしょう。

しかし、これらの治療を受けても油断は禁物です。

定期的な経過観察が欠かせません。

3〜6ヶ月ごとのCTスキャンや血液検査で、再発の兆候を早期に発見できるのです。

「もう治った」と思う患者もいますが、数年経ってから姿を現すこともあります。

だからこそ、長期的な観察が重要です。

参考:肺癌の放射線治療

肺がん再発予防における免疫療法

免疫療法は、患者自身の免疫システムを利用してがん細胞を攻撃する治療法です。

近年、免疫療法は肺がんの再発予防においても注目されています。

ここでは、免疫チェックポイント阻害剤、がんワクチン療法、CAR-T細胞療法の3つの方法について解説します。

免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞が免疫システムを抑制する仕組みを解除する薬です。

がん細胞は、免疫細胞のT細胞にブレーキをかけることで攻撃を免れています。

免疫チェックポイント阻害剤は、このブレーキを解除し、T細胞が再びがん細胞を攻撃できるようにします。

代表的な薬には、PD-1阻害剤(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)やPD-L1阻害剤(アテゾリズマブ)があります。

これらの薬は、非小細胞肺がんの治療において効果があり、再発予防にも使用されています。

参考:国立研究開発法人国立がん研究センター

参考:がん情報みやぎ

がんワクチン療法

がんワクチン療法は、患者の免疫システムを強化するために特定の抗原を導入する方法です。

この抗原はがん細胞に特有のもので、免疫システムががん細胞を認識しやすくなります。

がんワクチン療法は、がん細胞を攻撃する免疫反応を引き起こすことを目的としています。

参考:日本がん免疫学会

CAR-T細胞療法

CAR-T細胞療法は、患者のT細胞を遺伝子改変してがん細胞を攻撃する力を強化する方法です。

具体的には、患者のT細胞を体外で取り出し、がん細胞を認識するための遺伝子を組み込みます。

その後、改変されたT細胞を再び体内に戻し、がん細胞を攻撃させます。

この治療法は、特に血液がんで効果が確認されていますが、固形がんである肺がんに対しても研究が進められています。

CAR-T細胞療法は副作用も強いため専門の医療施設で行われます。

参考:神戸市立医療センター中央市民病院

肺がん再発予防へ自分でできる対処方法

肺がん再発予防へ自らできることとして、生活習慣の改善、定期検診の継続、そして医療チームとの良好なコミュニケーションが挙げられます。

まず、生活習慣の改善から始めましょう。

特に禁煙に努めてください。

喫煙を続けると治療効果が低下するだけでなく、新たながんの発生リスクも高まります。

また、バランスの取れた食事と適度な運動も重要です。

野菜や果物を積極的に摂取し、過度の飲酒は控えめにしましょう。

定期検診の重要性も忘れてはいけません。

治療後も定期的な検査を受けることで、再発や転移を早期に発見できます。

不安な症状があれば、すぐに相談することも大切です。

そして、医療チームとのコミュニケーションも重要です。

自分の気持ちや価値観を率直に伝え、医療チームと共に最適な治療法を選択していきましょう。

また、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について考えてみるのも良いかもしれません。

将来の治療やケアについて、前もって話し合っておくことで、自分らしい人生を送れます。

参考:チーム医療

参考:一般社団法人 日本サイコオンコロジー学会

肺がんの再発予防に努めましょう

肺がんの再発予防には、医療的アプローチと生活習慣の改善がポイントです。

従来の化学療法や放射線療法に加え、免疫療法という新たな選択肢もあります。

そして何より大切なのは、定期検診の継続と医療チームとの良好なコミュニケーションです。

禁煙や適度な運動など、自分でできることから始めてみましょう。

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