赤外線治療とは?概要や仕組み、注意点などを解説

本ページは、一般的な内容を基に作成していますが、個々の症状や治療法には違いがありますので、具体的な治療については必ず専門の医師やクリニックにご相談ください。

赤外線を用いた治療ががん治療においても取り入れられています。

これはがんの患部にだけ赤外線を照射して、がん細胞を破壊する治療方法です。

本記事では赤外線治療について、概要や仕組み、注意点などを解説します。

がん免疫治療について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

赤外線治療とは

赤外線治療は、赤外線を体に照射することで様々な効果が期待できる治療法です。

赤外線とは目に見えない電磁波の一種で、可視光線よりも波長が長い光線のことを指します。

赤外線は熱エネルギーを持っており、体内に深く浸透して温めることができるのが特徴です。

赤外線治療の歴史は古く、古代ギリシャやローマ時代から温泉や石の熱を利用した温熱療法が行われていました。

近代医療では1800年にウィリアム・ハーシェルが赤外線の存在を発見したことを皮切りに、1850年代にはマケドニオ・メロー二によって赤外線の性質が詳しく研究されました。

その後、赤外線の医療応用が進み、現在では痛み緩和や血行促進、免疫機能の向上などに活用されています。特にがん免疫治療の一環としても注目されています。 

参考:物理療法の過去・現在・未来 

一般的な赤外線治療の仕組みと効果

赤外線治療は、体に赤外線を照射することで様々な生理的効果を得られる治療法です。

赤外線は熱エネルギーを持っており、体内深くまで浸透して温めることができるのが特徴です。この温熱作用により、血行が促進され体温が上昇します。

血行が良くなると酸素や栄養分の供給が活発になり、疲労回復や免疫機能の向上につながります。

また、筋肉や関節の痛みを和らげ、炎症を抑制する効果も期待できます。これらの作用により、赤外線治療花様々な症状の改善に活用されています。

特に慢性的な痛みや関節炎、筋肉痛などの治療に有効とされています。

関節の可動域が改善したり、筋肉の柔軟性が高まったりと、痛みの緩和や機能回復に効果的です。

このように、赤外線治療は血行促進、体温上昇、疲労回復、免疫機能向上、痛み緩和、炎症抑制など、様々な生理的効果を発揮します。

がん免疫治療としての赤外線治療

ここからは、がん免疫治療としての赤外線治療について解説していきます。

がん免疫治療とは

がん免疫治療は、免疫の力を利用してがんと闘う新しい治療法です。近年、がん治療の分野で大きな進歩を遂げており、特にPD-1/PD-L1阻害剤と呼ばれる薬剤が注目されています。

これらの薬剤はがん細胞がもつ免疫抑制機能を阻害して、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにするのが特徴です。

このようながん免疫治療の中で、赤外線治療にも注目が集まっています。

参考:免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1阻害薬)の治療効果を高精度に予測するバイオマーカーを同定 免疫療法でのプレシジョン・メディシンの実現を目指す

参考:免疫療法

赤外線治療

がん免疫治療における赤外線治療は、体に赤外線を照射することで様々な生理的効果を得られる治療法です。

その中でも、がん免疫治療との関連が期待されているのが、赤外線治療の免疫機能向上作用です。

赤外線照射によって体温が上昇すると、免疫細胞の活性化が促進されます。特にがん細胞を攻撃するT細胞の活性化が期待できます。

また、赤外線治療は炎症を抑制する効果も持っているため、がん治療における副作用の軽減にも役立つと考えられています。

実際に赤外線治療とがん免疫治療を組み合わせた臨床研究が行われています。その結果、がん細胞の消滅や生存期間の延長など、良好な成果が報告されています。

特に頭頸部がんや皮膚がんなどの局所的ながんに対して、赤外線治療の有効性が示されています。

今後、さらなる研究の進展により、赤外線治療ががん治療の新たな選択肢として確立されることが期待されます。

参考:近赤外光線免疫療法による脳腫瘍の治療

参考:612 疼痛疾患に対する直線偏光近赤外線療法の臨床的効果

赤外線治療の安全性と注意点

赤外線治療は、医療機器として一定の安全性が確保されています。厚生労働省が定める「医療機器の基本要件」に基づき、赤外線治療器には様々な安全基準が設けられています。

具体的には、赤外線の照射強度や照射時間、温度上昇の制限など、患者の安全を最優先した設計が求められているわけです。

また、使用上の注意事項として、過度な照射による熱傷リスクの注意喚起や禁忌事項の明示など、安全な使用方法が定められています。

これらの安全基準は、公的機関や大手企業の赤外線治療器メーカーによって遵守されています。

さらに、赤外線治療は医療機関での使用が前提となっているため、医療従事者による適切な管理のもとで行われます。

医療機関では患者の状態に合わせて照射条件を調整するなど、安全性の高い治療が提供されています。

ただし、過度な照射による熱傷リスクなどには注意が必要なので、医師に相談して注意点を聞いてから治療方法として取り入れましょう。

参考:基本要件基準

赤外線治療を検討してみましょう

がん免疫治療の1つとしての赤外線治療は、一定の効果を期待できる治療方法です。

近い将来、近赤外線を採用した治療方法では8割の固形がんを治せるのではないかと期待されています。

すでに有効性が示されているケースもあり、今後もがん治療の1つの方法として期待が集まっています。

がん免疫治療には様々な方法がありますが、赤外線治療について理解を深め、治療方法として検討してみてはどうでしょうか。

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