身体のバランスを保つ働きがある「免疫機能」とは

免疫機能とは

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本ページは、一般的な内容を基に作成していますが、個々の症状や治療法には違いがありますので、具体的な治療については必ず専門の医師やクリニックにご相談ください。

人間の身体には、元々備わっている免疫機能があり、外から侵入するウイルスや病気の原因となる様々な病原体から身体を守ってくれる機能です。

ここでは、免疫の仕組み、かぜなどの感染症やがんのような病気から身体を守る方法、免疫力を高める方法などを詳しく解説します。

目次

免疫とは

免疫とは、ウイルスや細菌、アレルギー物質などの様々な異物が身体の中に入ってくることを防いだり、異物と闘ったりする力のことです。

たとえば、風邪を引いた時は熱を出して身体の中でウイルスを退治したり、ワクチンを接種して抗体ができることで病気にかかりにくくなったりという状態になります。これは、免疫機能の働きによるものです。

また、身体の中にはがん細胞が発生する場合もありますが、免疫機能によって健康に過ごせるように働きます。

つまり、免疫機能とは次のような役割がある、身体に備わった元々の力と言えます。

免疫機能が持つ3つの役割
  • 「自分」と「自分ではないもの(異物)」を見分ける
  • 外部から侵入した異物を退治する
  • がん細胞などの異常細胞を退治する

この免疫機能は常に一定ではなく、何かしらの原因で免疫力が弱まったり高まったりします。

免疫力が高い状態では、外部から侵入する異物やがん細胞の排除ができる状態ですが、免疫力が低下すると、それらが容易に侵入し体内で増殖してしまいます。

自然免疫と獲得免疫

免疫には、自然免疫獲得免疫の2つがあります。それらの免疫には、体内に存在している様々な免疫細胞が働きます。

自然免疫は生まれつき備わっている免疫機能であり、獲得免疫は体内に一度侵入してきた異物を身体が記憶し、再度侵入してきた場合に反応する働きを持った免疫機能です。

自然免疫

自然免疫は、生まれつき人の身体に備わっている免疫機能として、食細胞を中心とした免疫細胞から構成されています。

ウイルスや細胞などの異物を食べる役割をする食細胞は、体内に常に存在している細胞と異なる細胞を認識する力が備わっています。

また、異物見つけるとすぐに攻撃したり、獲得免疫の細胞に伝える役割も果たしたりします。

自然免疫の役割が備わっている免疫細胞は、次の6種類です。

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免疫細胞役割
好酸球・呼吸器系や腸管粘膜に存在している白血球。
・寄生虫感染が起きた場合は、体内で寄生虫を攻撃する。
・アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などの原因となる細胞。血液中の好酸球数により、アレルギー反応を判断できる。
好中球・白血球の中でも半数以上の割合を占めている細胞。
・酵素の力により、食べた異物を分解する働き、異物に向かう働きなどがある。
好塩基球・寄生虫から身体を守る働き。
・アレルギー反応を引き起こすヒスタミンを放出する。
・好酸球や好中球の遊離、移動を手伝う働き。
マクロファージ・白血球の中で、一番大きい単球細胞。
・体内に入ってきた異物を食べる、食細胞としての役割がある。
・抗原(異物)の情報を、獲得免疫の司令塔であるヘルパーT細胞に伝達する。
NK細胞・ウイルスやがん細胞を処理する。
・ウイルス感染した細胞やがん細胞だけではなく、独自に体内をパトロールして異物と認識した細胞を攻撃する働き。
樹状細胞・木の枝が四方八方に伸びているような形をしている。
・リンパ球、中でもT細胞を活性化させる。
・取り込んだがん細胞のかけら(がん抗原)を表面に出して、未熟なT細胞に攻撃を指示する。

獲得免疫

獲得免疫は、一度体内に侵入してきた異物の情報を記憶し、再び侵入してきた際に対応できるように学習した免疫機能のことです。

一度感染した感染症やワクチン接種した疾患などは、この獲得免疫により病気にかかりにくかったり、症状が軽く済んだりといった効果があるのです。

獲得免疫は自然免疫とは異なり、元々体内に備わっているわけではありません。様々な免疫細胞の働きにより、体内でゆっくりと病原体に対応するための力を作ります。

獲得免疫が攻撃する細胞の情報は、全てにおいて自然免疫に関わる免疫細胞から受けとる性質があります。それらの情報を記憶し、再び侵入してきた異物を見つけ、素早く攻撃することが特徴的です。

獲得免疫の役割が備わっている免疫細胞は、主に次の6種類です。

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免疫細胞役割
B細胞・侵入してきた異物が、身体にとって有害な物質か判断する。
・排除したい異物に合わせた抗体の産生を行う。
・抗原(異物)が排除された後は、B細胞からメモリーB細胞に変化し、再度の侵入に備えて待機する。
形質細胞・抗原(異物)の刺激により、B細胞から成熟したもの。
・大量の抗体を作り、自然免疫をサポートする。
ヘルパーT細胞・ナイーブT細胞から変化したもの。
・サイトカインを産生し、B細胞を活性化させる。
・有害な異物かどうか判断し、あらゆる免疫細胞の司令塔となり異物を攻撃する。
キラーT細胞・ヘルパーT細胞の指示により、感染した細胞やがん細胞を破壊する。
制御性T細胞・ヘルパーT細胞の約5%を占めている細胞。
・免疫細胞が暴走し、免疫異常が起きないように制御する役割を持つ。
・抗原(異物)への攻撃が終わると、免疫反応をストップさせる。
メモリーB細胞・ヘルパーT細胞により刺激された抗原(異物)の情報を記憶する。
・再度感染した時に、すぐに抗体を産生できるように備える。

このように、人間の身体は自然免疫と獲得免疫により、体内に侵入してきた異物を攻撃し身体を守っていることが分かるでしょう。

自然免疫に関わるNK細胞やマクロファージなどの免疫細胞が最初に攻撃し、抗原の情報を次の獲得免疫に関わる細胞たちに伝達し、次の侵入に備えます。そして、再度侵入が起きた場合は、ヘルパーT細胞やキラーT細胞、B細胞などの免疫細胞が素早く攻撃します。

この免疫細胞の一連の働きにより、私たちの身体は異物から守られているのです。

免疫細胞の働き方

自然免疫と獲得免疫に関わっている免疫細胞は、赤血球や血小板などの血液成分と共に流れている白血球中に存在しています。白血球の数値は、感染症やがんにかかった場合に炎症反応として見られます。

これらの免疫細胞は、すべて造血幹細胞から作られています。造血幹細胞から作られた細胞が、好中球好酸球などの顆粒球T細胞B細胞などに変化することが特徴的です。

また、顆粒球やB細胞は骨髄で作られ、T細胞は心臓の上部に位置している胸腺から作られる細胞です。これらは体内で出会い、協力し合いながら身体を守っていきます。

免疫細胞の働きは、異物の侵入を察知するときから始まります。まずは、自然免疫の免疫細胞が働き、食細胞である好中球マクロファージが異物を食べて排除します。異物の量が多い場合は、ヘルパーT細胞に情報を伝えて攻撃するように指示を仰ぎます。

次に獲得免疫では、ヘルパーT細胞がNK細胞の活性化とB細胞の産生を促し、大量の抗体を作り抗原を攻撃します。最後にキラー細胞が働き、抗原を攻撃して排除していきます。

このように、多くの免疫細胞が異物の攻撃と排除を行い体内から異物がいなくなると、制御性T細胞が攻撃をストップさせます。そして次の侵入に備えて、メモリーT細胞が情報を記憶する流れとなっています。

免疫細胞はそれぞれ役割を持ち、細胞同士がお互いに協力し合いながら体内で異物と闘ってくれる細胞です。免疫機能が正常に働くことは、人間の健康な身体を維持するために重要でしょう。

免疫力を高める方法

免疫機能は、人間の身体を守るために重要な役割を担っていますが、何らかの原因によってその力は弱まったり過度になったりします。

免疫力は、弱まることで様々な感染症や病気にかかりやすくなりますが、過剰に機能することでも病気になることもあります。つまり、その人に適した免疫力を維持することが大切であると言えるでしょう。

特に、感染症にかかりやすい、がんが発症してしまうという人の場合は、免疫力が低下していると考えられます。ここでは、免疫力を高める方法についてご紹介します。

身体を温める

人間の身体は正常な免疫機能を発揮するために、体温を36.5度前後が良い状態であると言われています。

免疫力が低下している原因として、低体温である場合が多いでしょう。

0.5~1度体温が上昇するだけで、免疫機能の働きが活性化されます。その逆に、0.5~1度低下すれば、免疫機能の働きは弱まるでしょう。

冬場は身体を温めることをしますが、夏場でも同様に冷たすぎる飲み物やクーラーが効きすぎた部屋で長時間過ごすことは避けましょう。

体温を下げるような行動をしないよう、意識して生活することが大切です。

適度な運動

運動を行うことで、体温が高まり免疫細胞を活性化させることにつながります。

また、適度な運動は、交感神経や副交感神経のバランスが整い、ストレス解消の効果にもなります。

自分が心地よいと思える運動を継続して行い、心身ともにリラックスできる状態を作りましょう。

腸内環境を整える食事の工夫

人間の免疫細胞は、約7割が腸内に常在していると言われています。そのため、腸内環境を整えることは、免疫力アップにつながります。

大腸から小腸にかけて何千もの腸内細菌が存在し、善玉菌や悪玉菌、日和見菌などの細菌の種類があります。免疫力を高めるためには、この中でも善玉菌の量を増やしてあげることが大切でしょう。

近年は、高カロリー・高脂質・高糖質の食べ物が多く、簡単に食べられる食文化に変化してきました。

そこで、肉や加工品などの動物性たんぱく質や脂質を多く食べて、野菜などが少ないという食生活では、悪玉菌の多い腸内環境になってしまいます。

このような食生活が続くことで、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなり、さらには大腸がんなどのがん発症のリスクも高めてしまうでしょう。

そこで、次のような腸内環境を整える食生活を意識することが大切です。

腸内環境を整える食生活
  • タンパク質、ビタミン、ミネラル、魚の油を積極的にとる
  • 大豆や豆乳、豆腐などの大豆製品をとる
  • ヨーグルトなどの発酵食品、乳酸菌飲料から善玉菌をとる
  • 食物繊維をたくさんとる
  • 玄米などのミネラル、食物繊維が多い穀物を食べる
  • レンコンなどの皮つき根菜を食べる ・めかぶやワカメなどのぬめり食品をとる

これらを含む食事をバランス良く食べて、腸内環境を整えていきましょう。

質のよい睡眠をとる

人間の身体は、睡眠時間をしっかりと確保することは健康を維持するために重要です。特に、7時間以下の睡眠時間の人は、感染症にかかりやすいと言われています。

必要な睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めるためにリラックスした夜の過ごし方を意識して生活しましょう。

ストレス解消の方法を見つける

現代はストレス社会と言われ、どのような人でもストレスを抱えて生活しています。ストレスが溜まり過ぎると、自律神経が乱れてしまうでしょう。

この自律神経副交感神経は、免疫機能が正常に働くために調整してくれる役割があります。ストレスにより、2つのバランスが崩れてしまい、免疫細胞の働きを弱めてしまうと考えられています。

ストレスを溜めない生活は不可能かもしれませんが、ストレスを解消する方法は1人ひとり持っていることが大切です。

ストレス解消法として、次のような方法などを参考にしてください。

ストレスを解消する方法の例
  • 思いっきり笑ったり、歌ったりする
  • 身体を動かす
  • 大声で歌う
  • 集中できる趣味を持つ
  • 散歩する ・良い景色を眺める

ご自分でストレス発散できる方法をいくつか用意し、ストレスを感じた場合にうまく対応してきましょう。

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