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がん免疫治療の将来展望は?現状も踏まえて徹底解説
「がんの免疫治療って将来的にどうなるの?」
「そもそもどんな免疫治療があるの?」
免疫治療に興味がある方はこのように考えているのではないでしょうか。
現状ではがん免疫治療の分野では、さまざまな治療法の臨床実験が進んでいます。
ただし、保険適用されるものはいまだに限られており、今後も改善が期待されているのも事実です。
今回の記事では、がんの免疫治療に関する将来の展望、免疫治療の種類について解説します。
これから免疫治療を受けようと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
そもそもがんの免疫治療とは?
がんの免疫治療とは、免疫の力を利用してがん細胞を攻撃して治療する方法です。
免疫細胞と呼ばれる白血球が主な役割を担っており、がん細胞を攻撃します。
白血球の中でもT細胞(Tリンパ球)が主に攻撃を行っているため、特に重要な細胞です。
免疫治療では、薬によってT細胞を活性化させて攻撃する力を高めます。
ただし、効果が証明された免疫療法はまだ一部であり、治療法や薬ごとに対処できるがんの種類も限られているのが現状です。
参照:がん情報サービス
がんの免疫治療の現状
現在では少しずつ保険適用で受けられる免疫治療が増えていますが、まだ自由診療のものもあります。
医療技術のない業者が、偽物の免疫治療を行っているケースもあり、今後の対策が急務とされています。
免疫治療を受ける際は、基本的には医療的に認められており、保険適用が受けられるものを受けるべきです。
現在でもさまざまな医師や医療機関で臨床実験が行われており、保険適用で受けられる免疫治療が増えていくことが予想されています。
主ながんの免疫治療一覧
主ながんの免疫治療の種類として、以下の5つが挙げられます。
- 免疫チェックポイント阻害剤
- 免疫賦活剤
- サイトカイン療法
- がんワクチン療法
- がん抗原特異的T細胞療法
どのような治療法なのか1つずつ見ていきましょう。
1. 免疫チェックポイント阻害剤
免疫チェックポイント阻害薬とは、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬のことです。
T細胞の表面には「異物を攻撃しない」という命令を受けるアンテナがあり、その作用をがん細胞が悪用しがん細胞が排除されなくなります。
そこでT細胞にブレーキがかからないようにするのが、免疫チェックポイント阻害薬です。
免疫チェックポイント阻害薬を用いることで、T細胞にブレーキがかからないようにしてがん細胞を攻撃し始めます。
免疫チェックポイント阻害薬で対処できるがんは、2020年8月に以下の7つとされています。
- 悪性黒色腫
- 非小細胞肺がん
- 腎細胞がん
- ホジキンリンパ腫
- 頭頸部がん
- 胃がん
- 悪性胸膜中皮腫
参照:がん情報サービス
2. 免疫賦活剤
免疫賦活剤は、がん免疫を活性化するとされる物質を体内に投与して免疫を強める治療法です。
現在、免疫賦活剤として活用されているものとしては、BCG(結核菌製剤)やピシバニール®(細菌製剤)などが挙げられます。
それぞれの詳細を以下の表で確認してみましょう。
種類 | 特徴 |
BCG(結核菌製剤) | ・ハイリスク筋層非浸潤性膀胱がんや上皮内がんに対して使われる・毎週1回注入し、6~8回繰り返すことが多い・副作用が出る場合が多い |
ピシバニール®(細菌製剤) | ・1975年から承認されていて歴史が長い・抗腫瘍効果に関与する様々な活性分子が入っている |
3. サイトカイン療法
サイトカインとは、免疫細胞から分泌されるタンパク質のことです。
サイトカインを利用することで、免疫細胞(リンパ球など)を活性化し免疫力を強める働きがあります。
免疫の働きにブレーキがかかってしまう現象を防ぎ、免疫力を高めます。
多発性骨髄腫(白血病の一種)、脳腫瘍、腎がんの治療に使われることが多いのが特徴です。
4. がんワクチン療法
がんワクチン療法とは、予防接種のようにワクチンを投与して免疫力を強める治療法です。
樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン治療などの治療法があり、副作用が少ない傾向にあります。
通院で治療できるのもうれしいポイントで、患者さんにとって負担が少なくなっています。
ただし、発熱、悪寒、倦怠感などの副作用が出る可能性もあるため、デメリットがある点も把握したうえで検討しましょう。
5. がん抗原特異的T細胞療法
エフェクターT細胞療法は患者自身のT細胞を体外に取り出し、T細胞にがん細胞を見分けられる遺伝子を組み入れて増殖してから、再び体の中に戻す手法です。
こちらの手法では、がん細胞への攻撃力が高まったT細胞を体内に取り入れられます。
国内で現在受けられるエフェクターT細胞療法は、CAR-T療法のみです。
CAR-T療法は、血圧や酸素濃度の低下や臓器への障害が起きるサイトカイン放出症候群、意識障害などの副作用があるため、基本的には入院して治療を行います。
効果的な治療法ですが、副作用もその分大きいのが難点といえるでしょう。
がん免疫治療の将来展望について
がん免疫治療の将来展望について、以下の3つが挙げられます。
- 複数の免疫制御法を併用する方法が期待されている
- 神経膠芽腫(グリオブラストーマ)に対する臨床実験が行われている
- PD-1阻害抗体を中心とした臨床実験が進んでいる
それぞれをチェックして、免疫治療への理解度を高めましょう。
1. 複数の免疫制御法を併用する方法が期待されている
がんの免疫治療を行った場合、結果がなかなか出ない場合があります。
治療効果が期待できない症例で効果を発揮するために、複数の免疫制御法を併用する複合がん免疫療法の開発が進んでいます。
複数の免疫制御法を併用する複合がん免疫療法が実現すれば、さらにがんの免疫治療における成功率が高まるでしょう。
2. 神経膠芽腫(グリオブラストーマ)に対する臨床実験が行われている
神経膠芽腫は悪性脳腫瘍の1つで、45~70歳代の成人に最も多く見られます。
神経膠芽腫が進行してしまうと、片麻痺・感覚障害・視野障害などの健康障害が発生するので注意が必要です。
東京慈恵会医科大学附属病院の脳神経外科では、神経膠芽腫(グリオブラストーマ)に対する臨床実験が行われています。
悪性神経膠腫と診断された約50例の患者さんに臨床実験を行い、5年生存率が約40%、生存期間中央値が30ヶ月という良好な結果を出しました。
現在でも臨床実験が続いており、今後の成果が期待されています。
3. PD-1阻害抗体を中心とした臨床実験が進んでいる
免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞を攻撃するT細胞の働きにブレーキをかけているPD-1とPD-L1の結合を防ぐ薬です。
PD-L1の妨害を受けずに、T細胞の働きを活性化することで抗腫瘍効果を発揮させられます。
国立研究開発法人国立がん研究センターでは、臨床実験を行い現在でも研究が進められています。
免疫チェックポイント阻害薬は、治療効果の認められる患者さんがまだ少なく、今後の改善が期待されているのが現状です。
がん免疫治療における今後の課題
がん免疫治療における今後の課題として、以下の3つが挙げられるでしょう。
- 保険適用できる治療法が少ない
- 副作用の対策
- 偽物の免疫治療の撲滅
どのような課題があるのか、詳しく解説します。
1. 保険適用できる治療法が少ない
がんの免疫治療は医学的に認められているものが少なく、保険適用できる治療法が限られています。
自由診療の免疫治療を選んでしまうと、治療にかかる費用をすべて自分で支払う必要があるのが難点です。
高額の治療費がかかるので、受けられないという方もいるでしょう。
現在、さまざまな医師や医療機関ががんの免疫治療の開発に取り組んでおり、臨床実験を行っています。
今は保険適用できる治療法が限られていますが、今後は時が経つにつれて増えていくことが期待できるでしょう。
2. 副作用の対策
免疫治療は、抗がん剤を用いる化学療法よりも副作用が少ない傾向にあります。
ただし、全くないとは言い切れず、治療法によっては副作用が重い場合もあるので注意が必要です。
医師に相談することで副作用が発生した時の対応について確認できます。
医師によっては、副作用が発生した時の治療を行ってくれる場合もあるでしょう。
今後は副作用のより少ない治療法の確立はもちろん、副作用が発生した時の対処法の準備も期待されます。
3. 偽物の免疫治療の撲滅
免疫治療は医学的に認可されたものが少なく、場合によっては悪徳業者が偽物の免疫治療を行っている場合があります。
偽物の免疫治療に騙されてしまうと、高額の料金を支払わされ効果のない治療を受けさせられてしまうでしょう。
お金はもちろん、時間も無駄になってしまうのでなるべく医学的に認められた治療を受けることが大切です。
今後はこれ以上被害が拡大しないように、偽物の免疫治療の撲滅対策が課題となるでしょう。
まとめ
がん免疫治療は、がんの再発や転移を防ぐ治療法の1つとして効果的です。
副作用も少ない傾向にあり、多くの人が受けやすいのも強みといえるでしょう。
ただし、がん免疫治療はメリットだけではなくデメリットも存在します。
保険適用できる治療法が少ない、副作用があるといった課題もあります。
現在、まだまだ発展途上の段階にありますが、効果がある治療法なので、気になる方は検討してみると良いでしょう。