がん免疫治療の成功事例3選!治療を受けるメリット・デメリットも解説

「がんの免疫治療って本当成功している事例ってあるの?」

「治療を受けるメリット・デメリットとしてどんなものがあるの?」

免疫治療はまだ医学的に証明されたものは少ない傾向にありますが、成功事例がいくつかあります。

具体的な成功事例について知ることで、よりがんの免疫治療について理解を高められるでしょう。

今回の記事ではがん免疫治療の成功事例、治療を受けるメリット・デメリットについて詳しく解説します。

これからがんの免疫治療を受けようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

がんの免疫治療についてわかりやすく解説!

がんの免疫治療とは、免疫の力を利用してがん細胞を攻撃して治療する方法です。

免疫細胞と呼ばれる白血球が主な役割を担っており、がん細胞を攻撃します。

白血球の中でもT細胞(Tリンパ球)が主に攻撃を行っているため、特に重要な細胞です。

免疫治療では、薬によってT細胞を活性化させて攻撃する力を高めます。

ただし、効果が証明された免疫療法はまだ一部であり、治療法や薬ごとに対処できるがんの種類も限られているのが現状です。

参照:がん情報サービス

免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療法

免疫療法の1つとして、免疫チェックポイント阻害薬といって免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬があります。

T細胞の表面には「異物を攻撃しない」という命令を受けるアンテナがあり、その作用をがん細胞が悪用しがん細胞が排除されなくなります。

そこでT細胞にブレーキがかからないようにするのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

免疫チェックポイント阻害薬を用いることで、T細胞にブレーキがかからないようにしてがん細胞を攻撃し始めます。

免疫チェックポイント阻害薬で対処できるがんは、2020年8月に以下の7つと公表されています。

  • 悪性黒色腫
  • 非小細胞肺がん
  • 腎細胞がん
  • ホジキンリンパ腫
  • 頭頸部がん
  • 胃がん
  • 悪性胸膜中皮腫

参照:がん情報サービス

エフェクターT細胞療法 

エフェクターT細胞療法は患者自身のT細胞を体外に取り出し、T細胞にがん細胞を見分けられる遺伝子を組み入れて増殖してから、再び体の中に戻す手法です。

上記の作業を行うことで、がん細胞への攻撃力が高まったT細胞を体内に取り入れられます。

国内で現在受けられるエフェクターT細胞療法は、CAR-T療法のみです。

CAR-T療法は、血圧や酸素濃度の低下や臓器への障害が起きるサイトカイン放出症候群、意識障害などの副作用があるため、基本的には入院して治療を行います。

効果的な治療法ですが、副作用もその分大きいのが難点といえるでしょう。

がん免疫治療の成功事例3選

がん免疫治療の成功事例として、以下の3つを紹介します。

  1. 再発した乳がんを完全消失させた事例
  2. 再発頭頸部がんを消失させた事例
  3. CAR-T療法で多発性骨髄腫を完全奏効させた事例

実際にどのような効果があるのか見ていきましょう。

1. 再発した乳がんを完全消失させた事例

東京大学大学院の教授などが中心になって集まり、再発腫瘍を消失させる新しい光活性化物質「Ax-SiPc」の開発を進めていました。

「Ax-SiPc」の実験として乳がんを再発させたマウスに治療を施したところ、腫瘍が完全に消失したという結果が出ています。

光免疫治療は切除の難しい進行がんの場合でも、近赤外線の照射によって活性化したがん細胞を死滅させられるのが強みです。

現在でもさらに研究が進んでおり、より広範な進行がんの治療につながることが期待されています。

2. 再発頭頸部がんを消失させた事例

楽天アスピリン社は、世界10カ国の頭頚部がん患者275人を対象にがん光免疫療法の臨床試験を行いました。

その中でも米国では患者15人中の14人でがんが3割以上縮小し、そのうち7人は消失させたという成功結果を出しています。

他にも日本で行われた臨床試験では 、3例に対して2例成功させたという事例もあります。

現在では頭頸部癌が対象となっており、今後も他の部位の治療に使えるように登録が進められているそうです。

3. CAR-T療法で多発性骨髄腫を完全奏効させた事例

因島医師会病院の倉西文仁さん自家がんワクチンを使った臨床実験で、成功を収めています。

ステージIVの胆嚢がん肝転移ありで余命宣告を受けていた61才女性、ステージIVの大腸がんがあった67才男性の治療を成功させています。

化学療法と併用しているので、自家がんワクチンのみの結果ではありませんが、がん免疫治療の効果の高さを実証した例といえるでしょう。

がん免疫治療にかかる費用

医学的に認められているがん免疫治療は依然として少なく、費用相場というものも定められていません

治療を受ける部分や、個人の状態によって大きく価格が変わるため注意が必要です。

また、保険適用できるかどうかも重要なポイントといえます。

なるべく治療にかかる費用を抑えたいのであれば、認可されており保険適用のある免疫治療を選ぶと良いでしょう。

がん免疫治療を受ける5つのメリット

がん免疫治療を受けるメリットとして、以下の5つが挙げられます。

  1. がんの再発を防げる可能性がある
  2. 進行度に問わず受けられる
  3. 副作用が少ない
  4. 他の治療とも併用できる
  5. 体力を改善させながら治療を受けられる

それぞれのメリットについて、チェックしていきましょう。

1. がんの再発を防げる可能性がある

がんの免疫治療は、免疫力を向上させる治療法です。

再発・転移を防止する効果が期待できるため、受けておくことで将来的にも安心できます。

抗がん剤治療を行った後、薬剤の種類によっては免疫力も下がる場合があります。

免疫力を回復させるという意味でも、がんの免疫治療は効果的な手法といえるでしょう。

2. 進行度に問わず受けられる

がんの進行が進むと、受けられない治療も出てきます。

一方で、がんの免疫治療は進行度を問わず、受けられる場合が多いのが強みです。

採血と点滴ができる状態であれば、治療を受けられる可能性があるため、病院での治療法が無くなった場合でも安心です。

ただし、自己免疫疾患一部の感染症がある方は受けられない場合があるので、まずは主治医に相談してみましょう。

3. 副作用が少ない

がんを治療する際には、放射線療法、化学療法などがありますが副作用が強いのが難点です。

一方で免疫治療は副作用が弱い傾向にあり、健康被害を抑えられます

なるべく体に負担をかけたくないという患者さんに適した治療法といえるでしょう。

ただし、副作用が全くないというわけではないので、治療を受ける際は副作用に関して主治医に聞いておくのが大切です。

4. 他の治療とも併用できる

がんの免疫治療は、他の治療とも併用できるのが強みの1つです。

特に抗がん剤治療と併用されることが多く、国内でもがんを完治させたケースが複数あります。

治療法を組み合わせることで、治療効果が上がる場合もあるので検討してみると良いでしょう。

5. 体力を改善させながら治療を受けられる

がんの免疫治療は、免疫を高められるので体力を改善しながら治療を受けられるのが強みです。

手術後に下がった免疫力を回復させられるので、がんの転移や再発を抑えられる場合もあります。

高齢の方でも受けやすい治療となっているため、主治医と相談しながら治療を検討しましょう。

がん免疫治療を受ける3つのデメリット

がん免疫治療を受けるデメリットとして、以下の3つがあります。

  1. 保険適用できる治療法がまだ少ない
  2. 副作用がないわけではない
  3. 偽物の免疫治療がある

メリットと照らし合わせて、検討材料にしましょう。

1. 保険適用できる治療法がまだ少ない

がんの免疫治療は、まだ医学的に証明されたものが少ないのが事実です。

保険適用できる治療法もまだ少なく、治療によっては自由診療になり全額負担する必要があります。

がんの免疫治療を全額負担する場合、高額の費用が掛かるため人によっては受けられない場合もあるので注意が必要です。

がんの免疫治療の最大の課題ですが、現在でも研究が進み認証のために多くの医師が尽力しているため、改善が期待できるでしょう。

2. 副作用がないわけではない

がんの免疫治療は抗がん剤を用いる化学療法などと比べると、副作用が抑えられています

ただし、副作用がないわけではないので注意が必要です。

がんの免疫治療における副作用としては、以下の例が挙げられます。

  • 吐き気
  • 皮膚の赤みや水疱
  • 発熱
  • 頭痛
  • リンパ節の腫れ
  • 食欲不振、嘔吐

上記の例はあくまでも副作用の一例なので、受けようとしている免疫治療がある場合はどのような副作用があるのか医師に確認しましょう。

3. 偽物の免疫治療がある

免疫治療は医学的に証明されたものがまだまだ少ないため、中には偽物の免疫治療があります。

高い効能を謳い、詐欺のような内容で騙そうとしている悪徳な業者もあるので注意が必要です。

免疫治療を受ける際は、以下のポイントを医師に確認しましょう。

  • 自分自身でもその免疫治療を試したことがあるのか
  • 実際に受けた患者はいるのか、どのような結果が出たのか
  • 免疫治療に関する論文はあるのか

保険適用が受けられる免疫治療であれば、信頼性が高いので安心して検討できます。

まとめ

がんの免疫治療は、まだ医学的に認められているものが少ないのが現状です。

現在でも治療法の開発が進んでおり、実際に成功例も出ています。

免疫力を回復させたり、副作用が少なかったりと大きな強みがあるため今後もさらなる発展が期待できます。

まだ保険適用される治療が少なかったり副作用があったりするためまずは主治医に相談して治療を受けるか決めると良いでしょう。

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