がん細胞と免疫機能の関わりについて

がん細胞と免疫機能

「気になる事があれば話してみませんか?」小さな心配も、安心につながる一歩です。無理な勧誘などは一切ございませんので、がん治療でお困りの方はお電話またはLINEでお気軽に当院にお問合せ下さいませ。

本ページは、一般的な内容を基に作成していますが、個々の症状や治療法には違いがありますので、具体的な治療については必ず専門の医師やクリニックにご相談ください。

がんは、現代人の2人に1人が罹患すると言われており、私たちにとって身近な病気となりました。

しかし、がん細胞は健康な人の身体にも存在している細胞です。このがん細胞に大きく影響するのが、私たちの身体に備わっている免疫機能です。

ここでは、正常な細胞とがん細胞の違いや免疫細胞、がん細胞と免疫機能の関係、免疫力を高める方法について、詳しく解説していきます。

目次

健康な人にある正常な細胞とがん細胞

私たちの身体は約60兆個の細胞が集合してできており、それぞれの細胞は異なる機能を持っています。そして、健康な状態の人にも正常な細胞がん細胞が両方存在しているのです。

毎日、無数のがん細胞を発生している一方で、これらのがん細胞と闘うための免疫機能も備わっていることが通常です。

がん細胞が発生する原因として、細胞の遺伝子であるDNAに変異が起こり正常な細胞ががん化することが挙げられます。

この細胞の変異は、細胞分裂の際に偶発的に起こることもあれば、生活習慣喫煙、たばこなどによっても起こることが特徴的です。

正常な細胞とがん細胞が持つ遺伝子の特徴について、以下にまとめました。

スクロールできます
特徴
正常な細胞・遺伝子が細胞の性質を決定している
・DNAは決まった塩基配列として組み込まれている
がん細胞・正常な細胞が持つはずの性質が喪失、細胞の性質が変わってしまう
・組み込まれた塩基配列が乱れてしまう

遺伝要因や環境要因によって、正常な細胞からがん細胞に変異するという仕組みです。そして、細胞の性質を変化させ続けることでがん細胞も増殖していきます。

DNAの変異により細胞が「がん化」するためには、細胞が持つ性質が関係していると考えられています。

隙間なく増殖した正常な細胞は、それ以上細胞が増殖しないように自ら調整できます。しかし、DNAが変異した細胞が増殖し続ける異常細胞だった場合、増殖を抑制できないがん細胞に性質を変えてしまうのです。

DNAの変異は、増殖し続けるようながん細胞だけではなく、様々な変異が蓄積されています。

以下に、DNAが変異したがん細胞の種類について、いくつかの例を挙げました。

スクロールできます
種類特徴
免疫逃避免疫細胞にバレないように増殖できる
血管新生新しい血管を増やして、がん細胞に栄養や酸素を届けて増殖する
アポトーシス回避DNAに損傷があっても、そのまま細胞が生き続ける
浸潤・転移がん細胞が隣接している部分、離れた部分にがん細胞を増殖させる

このように正常な細胞とがん細胞は、常に身体の中に共存している状態です。そして、がんに罹患した方のがん細胞を調べると、DNAに様々な変異が起こっていることが分かるでしょう。

免疫細胞と免疫抑制細胞

私たちの身体の中で、毎日のようにがん細胞が生まれていますが、すべてのがん細胞がそのまま「がん」になるわけではありません。

もし、毎日発生しているがん細胞すべてが「がん」になってしまうと、私たちの身体は「がん」でいっぱいになっているでしょう。

そこで、「がん」だらけの身体にならないように働いてくれるのが免疫細胞と言われるものです。

免疫細胞の働きについて

免疫機能を持つ細胞の中でも、主に「キラーT細胞」はがん細胞を破壊する役割を持っています。

T細胞の表面には、異物が持つ抗原を認識してくれるT細胞受容体(TCR)があります。このTCRが、がん細胞を発見し認識することで、T細胞の攻撃が始まるという仕組みです。

私たちの身体の中にあるT細胞には1つずつ異なるTCRを持っているため、体内に侵入してきた様々な異物を認識することが可能になります。

T細胞以外にも、がん細胞を攻撃する免疫細胞がいくつか存在します。それは、自然免疫で働くNK細胞やマクロファージです。

このように身体の中に作られるがん細胞を攻撃し、がん化することを防ぐ働きを持つことを免疫機能と言えます。

その一方で、細胞には過剰な免疫反応を抑制する機能も備わっており、免疫抑制機能と言われています。

この免疫抑制機能は、がん細胞を攻撃するT細胞の活性化を抑制する働きがありますが、この働きによってがん細胞が免疫反応を逃避して増殖することを促します。

このように細胞には様々な種類の免疫抑制機能があり、主に「免疫チェックポイント」と呼ばれています。

過剰な免疫機能を持つT細胞は、暴走することで自己免疫疾患などの病気を発現するリスクが高まるでしょう。そこで、免疫チェックポイント機能が働くことで、免疫細胞の過剰な働きにブレーキをかけることが可能になるのです。

私たちの身体には、免疫細胞と免疫抑制細胞が共存して働くことで、個々に合ったバランスの取れた免疫を維持できると言えるでしょう。

免疫機能が働いてもがんは発症する

生命を維持するために、免疫機能や免疫抑制機能などがバランスを取っていますが、このような免疫監視システムが働くのにもかかわらず、がんは発症するものです。

免疫細胞は身体に2兆個ほどあり、がんを攻撃する細胞はごく一部です。

たとえば、何らかの影響により免疫力が低下し、T細胞ががんを攻撃できない状態になることで、がん細胞は増殖するでしょう。他にも、免疫抑制細胞が増殖し過ぎることで、がん細胞が増殖する場合もあります。

T細胞などの免疫細胞は、がん細胞が持つ抗原を目印として認識し攻撃する特性がありますが、この免疫監視システムから逃避できるがん細胞が存在していると言えるでしょう。

様々な免疫細胞がある中で、がん細胞は生き延びるために変化することが特徴的です。ただし、がん細胞が意図的に自分自身を変化させているわけではなく、DNAの変異と生体の揺らぎによって起きると考えられています。

結果として、免疫機能から逃れて生き延びたがん細胞が増殖し、「がん」として現れるリスクが高まるのです。

そして、がん細胞が増殖し続けるにつれて免疫力も低下し、無力化していくという状態になります。免疫抑制細胞が増えていき、がん細胞を攻撃する免疫細胞を邪魔してしまい、ますます免疫力が働きにくい状態を引き起こすことになるのです。

このような人間の身体の働きにより、免疫機能が備わっていても「がん」は発現すると言われています。

がんの発現を予防するためには免疫力アップが大切

がんの発生には、遺伝要因と外的要因が大きく影響しますが、人それぞれの生活様式や体質があります。そのため、がんの発生においては一人一人異なると考えてもいいでしょう。

遺伝要因と外的要因の関連について、いくつかの例を挙げてまとめました。

特徴発がんの有無
遺伝要因に喫煙などの外的要因が合わさっている。あり
遺伝要因により発がんリスクが高い。その他に発がんリスクを高める外的要因が少ない。なし
遺伝要因による発がんリスクが低い。喫煙や過度の飲酒などの外的要因が強い。あり
遺伝要因による発がんリスクがとても高い。外的要因による発がんリスクが低い。あり

このように、個々によって発がんリスクが変わることが分かるでしょう。遺伝要因があると明らかな場合は、外的要因によるリスクを抑えるために生活習慣を見直すことが大切です。

つまり、免疫力を高める生活を送り、がん細胞に対する攻撃を活性化させるということです。主に、次のような生活が免疫力アップに良いとされています。

免疫力アップに良い生活
  • 体温を上げる
  • 適度な運動を行う
  • 栄養バランスの取れた食事

体温を上げる

人間の身体にとって免疫機能が正常に働き、良い免疫力を保つためには、36.5℃前後の体温であることが望ましいです。

身体の冷えにより体温が下がってしまうと、免疫細胞の働きが低下すると言われています。

そこで、体温を上げるために身体を温めてあげることが大切です。冷たすぎる飲み物は控えたり身体を冷やす食べ物ばかりを食べたりしない生活を送りましょう。

少しでも「免疫力が下がったかも」「疲れやすい」「身体がだるい」と思った場合は、まずは体温を上げて免疫力を高めてあげましょう。

適度な運動を行う

適度な運動は、身体が温まり体温を高めることで免疫力をアップさせます。

ただし、激しい運動や過度な運動を行うと逆効果になるため注意しましょう。このような運動は交感神経が優位になってしまい、逆に免疫力を低下させる可能性があります。

そこで、自分がリラックスできる程度で気持ちが良いと思える強度の運動を行うことが大切です。

栄養バランスの取れた食事

免疫力を高めるためには、日頃から栄養バランスの取れた食事を心掛けることが大切です。主に、野菜や果物、食物繊維を含む食材や、タンパク質、ビタミン、良質な魚脂を摂取しましょう

油っこい食べ物や辛味などの刺激物が強い食べ物を控えることで、胃腸にストレスをかけないように意識することも、免疫力を下げないためには必要です。

喫煙、過度な飲酒を控える

発がんリスクを高める要因として、喫煙や過度な飲酒が挙げられます。長期的な喫煙や飲酒によって、遺伝要因がない場合でもがんを発現する可能性があります。

そこで、喫煙や過度な飲酒を控えて、免疫力を下げてしまう要因を除去することが大切です。

このように意識した日常生活を送り、免疫力を下げない・高めることで、がんの発症を少しでも抑えていきましょう。

まとめ

人間の身体は常に正常細胞とがん細胞が生まれますが、備わっている免疫機能によって「がん化」を抑える作用があります。

様々な要因によってがんは発現しますが、免疫力を高めることで少しでも発がんリスクを抑えることも可能です。

そこで、バランスの良い食生活や適度な運動ストレスをかけない生活を意識していきましょう。

さらに、がん再発予防に役立つ治療法として、がん免疫療法があります。身体に備わっている免疫機能を利用して、がんを攻撃する治療法として効果が期待できます。 がん再発を予防できる治療法の1つとして、詳しく知っておきましょう。

  • URLをコピーしました!
目次