【基礎知識】「がん」という病気を知ろう!

がんとは

現代の日本人は、2人に1人が「がん」になると言われており、「がん」は身近な病気であると言えます。

しかしながら医療の発達に伴い、「がん」にかかっても重症化や再発を防げたり、寿命を延ばしたりできるようになりました。

そこで、「がん」の再発を予防するためには、まずは「がん」という病気について知ることが大切です。

ここでは、再発予防のために情報を収集し、ご自分に合った治療法を見つけられるように、「がん」についての基礎的な知識を解説していきます。

目次

「がん」は誰でも発現するリスクがある

日本人の2人に1人は、生涯で何かしらの「がん」になると言われています。

これまでは、「がん」という病気の知識を医療従事者だけが深い知識を持っている特別な病気とされていましたが、誰でも発現するリスクがある「がん」は、一人一人が知識を持つことが重要となります。

「がん」にかかると、病変が起きた部位や腫瘍の範囲、転移の有無などによって予後も変わってくることでしょう。

誰でも発現する可能性があるからこそ、「がん」という病気を恐れずに向き合うことも大切です。

『国立研究開発法人国立がん研究センター』が出している統計では、次のようなデータがあります。

がん統計データ
  • 日本人が一生のうちに「がん」と診断される確率

 男性65.0%、女性50.2%

  • 日本人が「がん」で死亡する確率

 男性26.7%、女性17.9%

参照元:「国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス」

このデータからは、「がん」と診断される確率は男女ともに2人に1人、「がん」で死亡する確率は、男性が4人に1人・女性は6人に1人であると結果が出ています。

このように数値で見てみると、「がん」は私たちの生活に身近な病気だということが改めて認識できます。

「がん」には悪性腫瘍と良性腫瘍がある?

一般的には「がん」と呼ばれている病気ですが、「がん=悪性腫瘍」と言い換えられます。

腫瘍とは、細胞に遺伝子異変が起きて増殖した状態のことを言います。

そして、腫瘍の中には病変があっても生命に大きな影響を及ぼさない「良性腫瘍」と重篤な症状が出る可能性がある「悪性腫瘍」に分けられます。

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良性腫瘍症状や病変はあっても、生命に大きな影響を与えない軽度のもの
悪性腫瘍他の臓器に浸潤・転移するもの、無治療で進行すると、重篤な状態になるもの

良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)は、増殖の仕方で違いがあります。診断においては、良性か悪性にハッキリと区別できない腫瘍もあり、悪性腫瘍であっても悪性度が低いものが存在します。

境界線が分からない腫瘍もあるため、精密な診断が必要になります。

良性腫瘍と悪性腫瘍の増殖や再発などの特徴は、次のとおりです。

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良性腫瘍悪性腫瘍(がん)
発育・増殖周辺の組織を押しのけるように、ゆっくりと増殖する(圧排性)周辺の組織に染み込むように増殖する(浸潤性)
増殖スピードゆっくり速い
転移しないする
再発しないする

このように、良性と悪性では増殖の仕方に特徴があるため、腫瘍を採取して精密な診断を行うことで、悪性度を判断できるという仕組みがあります。

「がん」はいくつかに分類される

「がん」は、発生した臓器や細胞によっていくつかに分類されることが特徴的です。また、転移性のあるものかによって「原発性」「転移性」と分類することもあります。

発生した部位による分類は、次のとおりです。

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固形がん・肺がん ・食道がん ・頭頸部がん ・乳がん ・胃がん ・大腸がん
・子宮がん ・卵巣がん ・その他のがん など
血液がん・白血病 ・悪性リンパ腫 ・骨髄腫 など

このように一般的に知られている「がん」の分類は、発生した臓器によって分けられたものとなります。

さらに、臓器に分けられた「がん」の中でも、発生した細胞組織によって細かく分類できます。

たとえば肺がんでは、次の4つに分けられます。

肺がんの分類
  • 腺がん
  • 扁平上皮がん
  • 大細胞がん
  • 神経内分泌腫瘍(小細胞がん)

他の臓器でも同様に、組織別に分類されることを覚えておきましょう。

また、転移性の有無によっては「原発性」「転移性」の2つがあります。

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原発性その臓器の組織から発生したもの
転移性他の臓器に発生した「がん」が転移してきたもの

肺がんの中でも、「原発性肺がん」「転移性肺がん」といったように分類されます。

これらの細かな分類を一つずつ精密に検査し、治療方針を決定することになります。

「がん」が発生・進行する仕組み

「がん」は突然発生するものではありません。正常な細胞から段階を経て、「がん」へ進行する自然な流れになっています。

「がん」が発生・進行する一般的な自然経過は3つあります。

がんの発生・進行
  1. 発生した部位で増殖する
  2. 周辺組織に浸潤する
  3. 他の臓器に転移する

それぞれの経過についての特徴は、次のとおりです。

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がんの進行症状
①増殖がん細胞が、発生した部位で増殖し、大きくなる早期であれば、症状はほとんどない増殖する(浸潤性)
②浸潤周囲にある正常な組織の間に、染み込むように広がる病変が大きくなり、浸潤することで症状が出現し始めるい
③転移血流やリンパ液などに乗って移動し、発生した部位以外の場所に病変を作る重篤な症状があり、致命的になる場合がある

がんと免疫機能について

「がん」には様々な分類と性質を持っていますが、多くの「がん」には制御できずに増殖し続けるという特徴があります。

このように、正常細胞の遺伝子が変異して、増殖・浸潤・転移といった経過をたどります。それぞれの過程で、「前がん病変」「上皮内新生物」「上皮内がん」「浸潤がん」といった呼び方をしています。

「がん」は予防できるが絶対に発現しないよう防ぐことは困難

「がん」が発現する要因には、遺伝子要因と生活習慣などの外的要因が影響しています。

遺伝子要因は、血縁関係のあるご家族に「がん」にかかっている方がいる場合に同様に、がんを発現するリスクも高まります。この場合は、予防することは難しいでしょう。

がんと免疫機能について

遺伝的要因と外的要因が混ざり合って、「がん」は発症すると言われています。

遺伝的な要因は未然に防ぐことはできませんが、生活習慣などの外的要因を改善させることで予防につなげられるでしょう。

主に、見直すべき生活習慣は次のとおりです。

見直したい生活習慣
  • 禁煙
  • 過度な飲酒は控える
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • 栄養バランスのとれた食生活
  • ストレスの軽減
  • 体温を高める

生活習慣の見直しは、免疫力を高めることにもつながります。日頃の生活において、「がん」にかかりにくいような身体に整えていくために、上記のような生活習慣を心掛けることは大切です。

ただし、生活習慣を見直して、100%完璧な生活を送っていたとしても、何かしらの要因がきっかけで「がん」にかかってしまうことはあるでしょう。

つまり、「がん」はかかりにくくすることは可能であっても、絶対に「がん」にならないように対処するということは不可能だと言えます。

一度なった「がん」は再発を予防することが大切

遺伝的な要因や外的要因がきっかけで、一度かかってしまった「がん」は早期に発見し、適切な治療を受けることで、進行を抑えることが可能です。場合によっては、完治することもあるでしょう。

手術や放射線治療、化学療法などを用いた治療で、「がん」を小さくして取り除くことはできますが、がん細胞によっては再発を繰り返す場合もあります。

一度なってしまった「がん」は、なかったことにはできません。そこで、再発しないように予防することが大切になります。

再発のリスクを低下させるためには、免疫力を高めて、体の中にいるがん細胞を攻撃すると良いでしょう。そのために、前項でも列挙した生活習慣の見直しを行うことが、1つの予防法と言えます。

また、手術等の治療後、多くの「がん」は3年以内に再発することが多く、5年を経過すると再発率は急激に下がります。

がんの発生部位や悪性度によっては、再発リスクが高まる場合もあります。その場合は、再発予防のために、できるかぎり身体に負担の少ない治療法を受けることが大切になります。

副作用などの身体への負担が少ない再発予防の治療法として、がん免疫療法を希望される方もいると言われています。

免疫療法は、重篤な副作用を発生するリスクが低いため、再発予防の選択肢の一つとして検討してみることをおすすめします。

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