KM-CART療法とは?治療メカニズムや臨床試験などを解説

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本ページは、一般的な内容を基に作成していますが、個々の症状や治療法には違いがありますので、具体的な治療については必ず専門の医師やクリニックにご相談ください。

がんと診断され、治療方法の選択に迷っている方もいるのではないでしょうか。

がんと向き合う苦しみは計り知れません。

しかし、新たな免疫療法であるKM-CART療法に期待が寄せられています。

本記事では、KM-CART療法のメカニズムや臨床試験結果、課題点などを解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、この新しい治療法について理解を深めてみてください。

目次

がん免疫治療の現状とKM-CART療法

がん免疫治療は、体内の免疫システムを活用してがん細胞を攻撃する方法です。

この治療法は、従来の手術や化学療法、放射線療法とは異なり、患者自身の免疫力を向上させることでがんと闘います。

そこに新たに登場したのがKM-CART療法です。

KM-CART療法は難治性のがんに対して、効果を期待できます。

従来のCARTでは、腹水処理の過程でろ過膜が徐々に詰まってきて、処理できる量が3〜4L程度に限られていました。

KM-CARTは松崎圭祐先生が開発した膜洗浄機能を備えたシステムです。

このシステムにより、ろ過膜の詰まりが解消され、大量の腹水処理が可能となりました。

これにより、正常な細胞への影響を最小限に抑えつつ、がん細胞を効果的に排除することが可能です。

この療法は、特定のがんに対して非常に効果的であることが期待されており、現在、さまざまな臨床試験が行われています。

参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター

参考:山口大学

KM-CART療法のメカニズム

1977年に市場に登場したCARTは、癌性腹水治療における一つの革新的な手段として期待されていました。

しかし、その普及には障壁がありました。

具体的には、CARTを使用して腹水を濾過する際、その膜が簡単に詰まってしまうという技術的な問題が存在したのです。

この問題は、腹水を効率よく処理することを困難にしており、特に癌性腹水のような粘度が高く、固形成分を多く含む液体の処理において顕著でした。

この大きな課題を解決したのが、松崎先生によって開発されたKM-CARTです。

KM-CARTでは、濾過膜を定期的に洗浄することが可能になり、膜の詰まりを効果的に防ぐことができるようになりました。

この技術的な進歩により、癌性腹水を含む様々な種類の腹水を、これまで以上にスムーズに処理することが可能となりました。

KM-CARTのもう一つの特徴は、その装置が非常にシンプルであり、操作も簡単であることです。

基本的に吸引器と輸液ポンプがあれば、医療従事者は多量の癌性腹水を短時間で効率よく処理できます。

これは、特に緊急を要する状況下や、医療リソースが限られている場所での使用において大きな利点です。

さらに、このシステムは血性腹水や粘液腹水といった他の種類の腹水にも対応可能であり、最大15リットルの腹水を一度に全量抜水することができるため、患者に大きな効果をもたらすことが期待されています。 

KM-CART療法の臨床試験と成果

難治性腹水に対して、2010年から2020年までの間にKM-CART療法が402回にわたって実施されました。

この期間に、145例の患者がこの治療を受け、1人あたり平均3回のKM-CART療法を受けています。

治療では、平均して6リットルの腹水が抽出され、それを処理して430mlの濃縮液を患者に再注入しました。

KM-CART療法を受けた後、患者を対象にしたアンケート調査では、良好な内容が目立っています。

具体的には、腹部の膨満感が軽減されたこと、それに伴って食事量が増え、全体的な活力が向上したことが挙げられます。

これらの結果から、KM-CART療法が患者のQOL(生活の質)を改善していることがわかりました。

さらに、KM-CART療法は副作用がほとんど報告されておらず、治療の安全性と有効性が高いことも示されています。

この点は、難治性腹水を抱える患者にとって、大きな安心材料となるでしょう。

参考:イムス太田中央総合病院

KM-CART療法の課題

難治性腹水に対するCART治療は、患者にとって非常に有効な治療法として注目されていますが、その実施にあたっていくつかの課題が存在しています。

まず専用のカテーテルが存在しないという点が挙げられます。

そのため、治療を行う際には、標準的なカテーテルを仮の方法で加工する必要があり、これが治療の精度や安全性に影響を及ぼす可能性があります。

また、腹水を採取する際に使用する回路と吸引器が別体であるため、操作の複雑さや感染リスクの増加などの問題が生じています。

これらの問題を解決するためには、一体型の密閉回路の開発が急務とされています。

もう一つの課題は、入院期間に関連しています。

現在、CART治療を受ける患者は、一定期間の入院が必要です。

日帰りでの施行が可能になれば、患者の負担軽減や医療機関の運用効率の向上が期待できるでしょう。

これらの課題に対して医療技術の進歩や治療法の改善が進められており、難治性腹水などに苦しむ患者にとってより良い治療選択肢が提供されるよう、今後も継続的な研究開発が重要となります。 

参考:徳島赤十字病院

参考:福島生協病院

KM-CART療法を検討してみましょう

KM-CART療法は、難治性がんに対する新たな治療選択肢です。

臨床試験では高い治療効果と安全性が確認されており、患者QOLの改善にもつながっています。

一方で専用カテーテルの開発や治療条件の改善などの課題もあります。

しかし、研究開発が進めば、より多くの患者さんにメリットをもたらせるでしょう。

主治医と相談し、KM-CART療法を選択するかどうか検討してみてはどうでしょうか。

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