TIL療法とは?特徴や効果、副作用などを解説

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本ページは、一般的な内容を基に作成していますが、個々の症状や治療法には違いがありますので、具体的な治療については必ず専門の医師やクリニックにご相談ください。

この記事では、がん治療における最先端のアプローチであるTIL療法((Tumor Infiltrating Lymphocyte))を深掘りしました。

この治療方法がどのようにしてがんに効果があるのか、効果から課題まで解説していきます。

目次

TIL療法とは?

TIL療法(腫瘍浸潤リンパ球療法)は、がん治療の一種で、特に進行性のがんに対して効果を発揮する可能性がある治療法です。この治療法では、がん患者自身のがん組織からTIL(腫瘍浸潤リンパ球)を採取し、これを体外で大量に培養してから、患者に再注入します。

TILはがん細胞特有のタンパク質を認識し、がん細胞を攻撃する能力を持つ細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を多く含んでいます。患者に戻されたTILは、がん細胞を効果的に攻撃し、腫瘍の縮小や消失に寄与すると考えられています。

なお、TIL療法の主な特徴は、がん細胞に対する高い特異性と攻撃力です。体内で自然にがん細胞を攻撃しているCTLを利用するため、がん細胞の特定の抗原を事前に識別する必要がありません。

TIL療法により、腫瘍が完全に消滅した場合、再発の可能性が少なく、完治する可能性もあることが報告されています。さらに、この治療法は患者自身の細胞を使用するため、副作用が少ないと考えられています。

一方で、TIL療法にはいくつかの課題も存在します。例えば、すべての患者からTILを作成できるわけではなく、対象となる疾患も限られています。

治療の前段階で行う強力な抗がん剤治療は、感染症や臓器障害などの合併症リスクを伴います。さらに、TIL療法は高度な技術を必要とし、実施できる施設は限られているため、アクセスが難しい場合もあります。

TIL療法は、特に進行性の悪性黒色腫や子宮頸がんなどに対して有効性が示されています。1990年代からアメリカを中心に研究が進められ、日本でも研究と治療が行われています。

しかし、現在のところ、標準治療として確立されているわけではなく、今後の臨床試験の結果や研究の進展が待たれているところです。

TIL療法は、既存の治療法では効果が見込めない患者に新たな希望を与える治療法である一方で、その実施には様々な課題があり、今後の研究開発と臨床応用の拡大が期待されています​​​​​​。

参考:養子細胞免疫療法 – 日本がん免疫学会

参考:腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)について Part.1 | がん免疫療法コラム | 6種複合免疫療法

参考:難治性子宮頸癌に対する腫瘍浸潤リンパ球輸注療法

TIL療法の効果と副作用

ここからは、TIL療法の効果と安全性を紹介します。どのような症状に効果が期待できるのか、また、副作用について確認しましょう。

 効果

TIL療法は進行性がんの治療において顕著な効果を示しています。特に悪性黒色腫や子宮頸がんの治療において有効性が報告されており、進行した悪性黒色腫の患者においては、治療後の効果が観察されました。

TIL療法の特徴は、がん細胞を効果的に攻撃する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を多く含んでいる点です。患者自身のがん組織から採取したTILを体外で大量に増殖させ、再び患者に戻すことで、がん細胞に対する強力な攻撃を可能にします。

このプロセスは、患者ごとにカスタマイズされた治療法であり、個々のがんの特性に合わせて最適化されるため、標的となるがん細胞に対する高い特異性を持ちます。

参考:子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)の  先進医療実施について

参考:進行悪性黒色腫に対する腫瘍浸潤リンパ球療法とイピリムマブとの比較 | 日本語アブストラクト | The New England Journal of Medicine(日本国内版) 

 副作用

TIL療法は一般的には副作用が少ないとされています。しかし、副作用の可能性は完全には否定できません。文TIL療法を受けた患者さんにおいては、治療後に一時的な発熱が見られる場合もあります。

また、がん細胞も含んでいる可能性がある腹水や胸水、手術摘出がん組織からCTLを分離する過程で、がん細胞が残存するリスクが非常に低いながらも存在します。

さらに、免疫チェックポイント阻害薬とTIL療法を併用する場合、強力な免疫反応が引き起こされることが期待されますが、これにより様々な臓器に障害を起こす可能性も指摘されています。

免疫チェックポイント阻害薬は自己免疫反応を引き起こすことがあり、これがさまざまな臓器に影響を及ぼす可能性があるためです。

以上の点を考慮すると、TIL療法は比較的副作用が少ない治療法であるとはいえ、特定の状況下では副作用が発生する可能性があることが分かります。

治療を検討する際には、これらのリスクを理解し、担当医師と十分に相談することが重要です。

参考:TIL(腫瘍内浸潤リンパ球)療法についてのご説明

代替治療法との比較

TIL療法は患者自身のがん組織から採取したリンパ球を用い、特に悪性黒色腫に効果があり、多様ながん抗原に対応できる点が特長です。

一方、CAR-T療法は遺伝子操作されたT細胞を使用し、特定の抗原を標的にしますが、がん細胞の抗原変化により効果が減少するリスクがあります。

TIL療法は個々のがんに対する特異的な治療が可能で、CAR-T療法は強力な攻撃力を持ちますが、技術的制約や施設の限定などの課題もあります。

参考:免疫療法におけるTCR、TIL、CAR-Tの違い

参考:腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)について Part.1 | がん免疫療法コラム | 6種複合免疫療法

TIL療法の理解を深めよう

TIL療法は、がんに効果を期待できる治療方法です。まだまだ発展段階の治療法であり、今後は益々の効果向上が期待されます。

効果がさらに向上すれば、がん患者それぞれに適した治療法の選択ができるでしょう。今後の進展も注視しながら、TIL療法についての理解を深めていきましょう。

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